10月26日(日)慶應大―日体大@アミノ
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL | |
慶應大学 | 21 | 14 | 14 | 0 | 49 |
日本体育大学 | 0 | 0 | 0 | 9 | 9 |
【得点経過】
1Q 4:11慶應#18(QB4年高木翼)→#7(WR4年志水) 5yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K7-0N>
1Q7:42慶應#18(QB高木翼)21yd Run TFP成功(K#15手塚)<K14-0N>
1Q11:16慶應#6(RB3年田中英)34yd Run TFP成功(K#15手塚)<K21-0N>
2Q11:17慶應#18(QB高木翼)→#23(WR4年畑)8yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K28-0N>
2Q11:48慶應#18(QB高木翼)→#16(WR3年坂本健)4yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K35-0N>
3Q2:51慶應#29(RB2年李)28yd Run TFP成功(K#15手塚)<K42-0N>
3Q11:37慶應#29(RB李)31yd Run TFP成功(K#15手塚)<K49-0N>
4Q10:06日体SAFETY<K49-2N>
4Q11:43日体#16→#19(8yd Pass)TFP成功(K#12)<K49-9N>
【STARTING MEMBER】
Offense
RT#75 鶴長 伸之(4年)
RG#78 小野島 洋輝(2年)
C#77 浅原 宏太郎(2年)
LG#51 清野 武尊(3年)
LT#71 高瀬 智正(3年)
QB#18 高木 翼(4年)
TE#88 岩澤 忠尚(4年)
WR#17 姜 勝大(3年)
WR#81 八木 雄平(3年)
WR#86 柴田 源太(1年)
RB#1 髙木 康貴(4年)
K#15 手塚 太陽(2年)
Defense
DL#53 萩原 周平(1年)
DL#95 佐藤 寛哲(2年)
DL#97 長塚 大(2年)
LB#26 松下 慶太郎(4年)
LB#50 染矢 優生(1年)
LB#54 ライト 太一(4年)
LB#56 江川 輝(4年)
DB#1 兵頭 宣俊(2年)
DB#21 金野 雄一郎(3年)
DB#22 松崎 泰光(3年)
DB#24 吉村 奬太(3年)
P#10 弘世 頌一朗(2年)
【戦評】
関東TOP8の第5節で、慶応大が日体大と対戦し、49―9で勝った。これで
慶大のリーグ戦成績は3勝2敗となり、早大と並んで3位につけている。
慶応のキックオフで試合開始。慶応ディフェンスは日体大の最初の攻撃を3つで
パントに追い込むと、オフェンスは#18QB高木翼が確実にパスを決めて前進
する。最後は#7WR志水にアクロスパターンのパスを決めて先制。
その後、ディフェンスはこの日初めてスターターに起用されたスピード派の
1年生DL萩原らフロントがプレッシャーをかけ続け、4シリーズ連続で
ファーストダウン更新を許さない。
オフェンスも#29李、#1高木康、#6田中の3人のRBが走りまくって、
TDを重ねる。高木は1Qに投じた11本のパスを全て成功させる完璧な立ち上
がりを見せる。
その後は不用意なパスをインターセプトされる場面があったが、3Qまでは攻守
共にほぼ完璧な出来で49―0と大量リードを奪う。4Q終盤にオフェンスのミ
スからセーフティーで2点を献上。試合終了間際にもTDを許して、最後はやや
後味の悪い展開になったが、49―9の大勝で3勝目をあげた。
■途切れなかった集中力
法政と日大に敗れて、甲子園ボウルへの道が絶たれたユニコーンズ。モチベーショ
ンが心配される試合だったが、選手たちは最高の集中力を見せてくれた。
まずディフェンスについて、日体大の攻撃で最も警戒すべきは#16QB辻の
オプションだった。法政、日大相手にもかなりゲインを奪い、TDランも決めて
いる。しかし、法政相手に既にオプション対策を実行している慶応ディフェンス
は、これをきっちり止める。DLが押し込み、#54LBライトをはじめとした
LB陣が次々にタックルを決める。#1DB兵頭の上がりも素晴らしかった。兵
頭はこの試合インターセプトも決めるなど、ボールへの嗅覚も鋭い。まだ2年生
だがこれから守備の中心選手になっていくだろう。前回ご紹介した#4工藤と#
50染矢の1年生LBコンビに加えて、慶応高校でベストアスリートとして活躍
したルーキーのDL萩原も上々のデビューを果たした。萩原については、「太り
にくい体質だから、大学ではDBをやったらいいんじゃないか」と言う高校コーチ
がいた。DBとしてもプレーできるほどのスピードを持ったDLなのだ。彼の今
後の成長に期待したい。
この日のディフェンスは終了間際にTDを決められたこと以外は、完璧な出来だった。
交代選手も自分の役割をしっかり果たして、層の厚さも見せた。各ポジションで
若手が多く活躍していることからも、ディフェンスの未来は明るいだろう。
■不安残る「ポスト翼」
4Q、ディフェンスがゴール前1ヤードで日体大の決死のギャンブルを阻止して、
完封をキープした。続くオフェンスは#18QB高木翼に代わって、3年生の#
4江守が出場。そのファーストプレーでエクスチェンジミスが起こり、セーフティー
の2点を献上することになった。
この時のスコアは49―0。試合は既に決まっている。しかし、もしも接戦であ
れば、このミスはきっと致命的なものになっていただろう。フットボールはオフェ
ンスとディフェンスの信頼関係で成り立っている。この日初めて迎えたゴール前
のピンチを、ディフェンスが必死に凌いだ。オフェンスとしてはこの奮闘に応えて、
最低でもパントはきっちり蹴らなければならない場面だ。しかし、結果は1プレー
目でミスによるセーフティー。最悪の結果だ。この後、終了間際にTDを奪われ
たが、これはオフェンスのミスがもたらしたと言っても過言ではないだろう。
このエクスチェンジミスが誰のせいなのか分からないし、そこは重要ではない。
問題は今年のチームは春からずっと、QB高木が抜けた瞬間に全く別のチームに
なってしまうということだ。ランが出ない、パスが決まらないのはしょうがない。
それよりも、ファンブルをはじめとした初歩的なミスを犯して、自滅する光景が
続いている。今年のチームは高木という学生界トップレベルのQBがいて、彼の
能力で局面を打開してきたことも多い。一からチームを作り直す来季、自分たち
を見つめ直して大きく成長しなければ、再び甲子園を狙えるチームはできないだ
ろう。
■ロスを突破さえすれば
法政戦、日大戦と完璧に封じられたRBの李。彼はここまで5試合で360ヤード
を稼いでいるが、そのほとんどは立教戦と日体大戦で走ったものだ。明治、法政、
日大相手にはほぼ完封されている。日大戦のゲームリポートで「李は壁に向かって
ぶつかり続けた」という表現をした。つまり、どんなにRBが素晴らしくても、OL
が走路を切り開いて、ロスを突破させなければその走力は生かされないのだ。残念
ながら法政、日大相手にはそれができなかった。
この日は違った。彼は一度ロスを抜けることさえできれば、素晴らしい走りがで
きるランナーであることを再び証明した。40ヤード4秒4の快足を生かして、
ロングゲインを連発する。1対1では負けないし、当たりにも強い。何より、ボール
セキュリティーがしっかりしているところが、RBとして最も信頼できる理由だろう。
先週末の関東高校大会、早慶戦を見ていて、明るい兆しを感じた。慶応高校のO
Lがかなりサイズアップしているのだ。結果として試合には僅差で負けてしまっ
たが、力強いブロックを連発して、ランナーの走路を切り開いていた。
彼らが大学に入ってさらに成長してくれれば、エースの李を生かす力強いランオ
フェンスが出来上がる。そう思った。(共同通信社 松元竜太郎・平成17年度
卒)