【春オープン戦】VS 日本体育大学

2015年4月11日(土)  慶應義塾大学 対 日本体育大学
17:00 Kick Off  @日本体育大学世田谷キャンパスグラウンド
天候 曇り
        1Q   2Q     3Q     4Q     計
慶應     10    0       7      7     24
日体      0     0       0      0        0
得点経過
1Q   2:47 慶應 #5(QB2年小田)→#22(WR3年井上翔) 7yd Pass
                TFP成功(K#11 3年手塚)  <K7-0N>
       6:06 慶應 K#11(手塚) 36yd FG成功  <K10-0N>
3Q   11:41 慶應 #18(QB3年山口)→#9(WR4年寺園) 5yd Pass
        TFP成功(K#11 手塚)  <K17-0N>
4Q    9:24 慶應 #29(RB3年李) 63yd Run
        TFP成功(K#26 3年池辺)  <K24-0N>
STARTING MEMBER
Offense
RT#77   簗瀬 武史(2年)
RG#78  小野島 洋輝(3年)
C#59   浅原 宏太郎(3年)
LG#51  清野 武尊(4年)
LT#71    高瀬 智正(4年)
QB#5    小田 裕太(2年)
TE#48    黒田翔太(3年)
WR#9   寺園 貴文(4年)
WR#17  姜 勝大(4年)
WR#81  八木 雄平(4年)
RB#29    李 卓(3年)
K#11   手塚 太陽(3年)
Defense
DL#69  岸 佑亮(2年)
DL#72  犬飼 和真(2年)
DL#97  長塚 大(3年)
DL#90  金子 陽亮(4年)
LB#42  井本 健一朗(2年)
LB#50  染矢 優生(2年)
LB#56    菅原 大源(3年)
DB#1  兵頭 宣俊(3年)
DB#13  杉山 慶(3年)
DB#21  金野 雄一郎(4年)
DB#22    松崎 泰光(4年)
P#77    簗瀬 武史(2年)
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日体大戦ゲームレポート
                                        H17卒  松元竜太郎
【戦評】
2015年の春季オープン戦で慶応大は日体大と対戦し、24―0で勝った。
前半、1QにTDパスとFGで慶応は10点を先制する。その後は両チームの
守備が奮闘してパントが続き、膠着状態のまま前半が終了。
後半に入ると3Qに#18QB山口から#9WR寺園へのTDパスで加点。4Q
には#29RB李がだめ押しの独走TDランを決めた。守備はラン中心の日体大
の攻撃を粘り強く抑えて完封した。
■番号変更で大慌て
金子主将体制となった新チームの初戦、相手は同じくTOP8の日体大だ。昨秋
は49―9で完勝しており、現時点でのチームの仕上がりを見るには絶好の相手
だった。
しかし、春の初戦というのは取材する側にとってとても難しい試合となる。そう、
新人が入ったり番号変更が行われているため、誰が誰だか選手を認識するのが大
変なのだ。昨季大ブレークした#19WR田邊や#81WR八木らに加えて、#
9のWRの動きがいい。この選手はこの試合でパントリターナーとしても好リター
ンを見せた。しかし、#9は昨季主将のDB三津谷君がつけていた背番号。昨年
の慶応高校の主将だったWR松岡とも思ったが、彼はもう少し身長が高かったと
記憶している。いったい誰だろう。
答えは4年生の寺園だった。昨年はレギュラーの座を下級生に譲りローテーショ
ンでの出場のみだったが、この日は4Qにゴール前でスクリーンパスをキャッチ
してTDを決めるなど、堂々たる活躍だった。
慶応のWRはアウトサイドにはエースの田邊に柴田、八木ら人材が豊富にそろっ
ている。寺園に加えて#16坂本、#17姜らがインサイドのWRとしてさらに
成長してくれれば布陣は盤石だ。この日の起用では寺園は中と外の両方プレーし
ていたが、ぜひインサイドを極めて昨季副将の志水君のような頼れる存在になっ
てほしい。
番号変更の話題でもう一つ。3Q、寺園へのTDパスを決めたのは「#18」の
QBだった。18番と言えば昨年までエースの高木翼君がつけていた背番号だ。
受け継いだのは3年生のQB山口だった。
やはり新チームの最大の課題は「ポスト高木翼」だろう。学生界ナンバーワンと
の評価もあった彼の穴を埋めることはできない。しかし、新しくエースとなるQ
Bがどれだけ試合を作れるかがユニコーンズにとって重要となる。日体大戦を見
た限りでは、エース候補は3人、#4江守、#10麻和、山口だ。昨シーズンは
年間を通して高木君が試合に出続けていたため、じっくり彼らのプレーを見るの
は初めてだ。簡単に三人の特徴をまとめると、まず江守は小柄だが機動力がある。
ポケットワークもなかなかいい。この日もスクランブルから二度ほどロングゲイ
ンを奪っていた。麻和はこれといって特徴は見あたらなかったが、安定感のある
バランスタイプ。山口はサイズがあり、とても自信を持ってプレーしていたよう
に見えた。これも「#18」を背負っているという自覚の表れなのではないかと
思う。
この日、QBが投げたパスはショートパスばかりで、ミドルレンジのパスはかな
り少なくロングパスは皆無だった。だから、肩の強さやパスの精度についてはま
だ評価することはできない。オフェンスラインも日体大の守備フロントに勝って
いたので、プレッシャーを受けたときの対処の様子もあまり見ることができなかっ
た。
彼ら3人がこの先どんなに成長したとしても、昨年のように60点、70点取る
爆発的なオフェンスを構築することは難しいだろう。やはりエースのRB李を生
かしながら、いかにランで時間をコントロールしてドライブできるかが大事になっ
てくると思う。そういう意味では今週末の学生王者関学戦はQBが猛烈なプレッ
シャーに襲われることになる。誰が出場するかはわからないが、その中でどれほ
ど平常心を保って確実なプレーを遂行できるのかに注目したい。
■楽しみな犬飼の成長
「今日は全員を出場させた」と試合後に筒井守備コーディネーターが言ったとお
り、とにかく守備選手がめまぐるしく代わった。筒井コーチによるとある程度軸
となる選手は見えてきている中で、さらに多くの選手にチャンスを与えようとい
う試みだ。
守備は昨年の主力選手がかなり残っており、さらなる飛躍が期待できるシーズン
だ。逆に言うとオフェンスに昨季のような得点力が期待できない分、守備がふん
ばらなければ試合に勝つことはできないだろう。さて、各ポジションを見ていこ
う。
まずDLは#90金子をはじめとしてDEはいい。LBは昨季一年生ながら主力
として活躍した#4工藤や#50染矢がいる。ライト君と江川君の抜けた穴は大
きいがきっと若手を中心にがんばって埋めてくれるだろう。DBも#1兵頭、#
22松崎のSFコンビが残り安定感は抜群だ。
では守備の課題はどこかというとずばりDTだと思っている。昨年は望月君がん
ばっていたが、今年は重量級のDLはほぼいない。当然DTが機能しなければラ
ンもパスも止まらない。昨年以上のレベルが求められるユニコーンズ守備にとっ
てここが最大のネックであり、秋までに何とかしなければならない命題だと思っ
ている。
そんな状況の中、輝くものを感じさせる選手がいた。OLからコンバートした2
年生の#72犬飼だ。まだ少し線は細いが、オフェンスラインに当たり負けしな
いフィジカルの強さとラッシュの激しさは完全にディフェンスライン向きだ。こ
の日も激しいラッシュでQBサックを決めていた。まだ体重も増えそうだし、彼
がDTの柱として成長してくれればディフェンスにとって貴重な戦力となる。
■関学戦は「ラン」がキーワード
4月18日に神戸の王子スタジアムで行われる関学戦は攻守共にランに注目しよ
うと思っている。日体大戦のプレー傾向を見ても明らかだが、スタントHCはQ
Bの負担をかなり軽くしている。ロングパスをはじめとして、新QBに春からい
きなり高度なパススキームはインストールしていないのだろう。となると関学相
手にランを出せるかどうかが鍵になる。李の個人技に頼るのではなく、OLがユ
ニットとして機能してどの程度ランをだせるかをしっかりチェックしたい。
一方の関学オフェンスも状況は似ている。2年間エースを務めた好パサーの斉藤
君が抜けたため、QBは3年生の伊豆が出てくる。彼はランは得意だが、パスは
まだまだ荒削りだ。関学大の鳥内監督は春の試合でも絶対に負けないようにゲー
ムを組み立てるので、まずはRB橋本と伊豆のランを中心に確実にドライブして
点を取りにくるはずだ。そこを慶応守備がランストップできるかどうかが鍵にな
る。
関学のOLはかなり強い。昨年の甲子園ボウルでは慶応が完敗した日大を相手に
中央のラン攻撃で粉砕した。さらにライスボウルでは社会人の富士通相手にもト
ラップブロックなどをうまく使って途中まではランをしっかり出していた。
つまり、日本トップレベルの関学のラン攻撃を慶応がどこまでしのげるかが秋を
占う上でも注目となる。
正直なところ、昨年期待していたような王者相手の勝利という結果は現時点では
難しいかもしれない。しかし、秋に向けて希望を抱いて帰りの新幹線に乗れるよ
うな内容を新生ユニコーンズには期待したい。(共同通信社 松元竜太郎・平成
17年度会員)