【秋リーグ戦】vs立教大学

9月7日(日)慶應大―立教大@アミノバイタルフィールド

1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
慶應大学 21 14 14 21 70
立教大学 14 7 14 7 42

【得点経過】

1Q0:21慶應#1(RB4年髙木康)69yd RunTFP成功(K#15 2年手塚)<K7-0R>
1Q4:03立教#30(2yd Run)TFP成功(K#17)<K7-7R>
1Q 4:50慶應#18(QB4年高木翼)3yd RunTFP成功(K#15 手塚)<K14-7R>
1Q 11:11慶應#18(QB高木翼)→#86(WR1年柴田)89yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K21-7R>
1Q11:23立教#45 69yd Kick Off ReturnTD TFP成功(K#17)<K21-14R>
2Q6:10立教#56 Punt Block Recover TD TFP成功(K#17)<K21-21R>
2Q 8 :34慶應#18(QB高木翼)11yd Run TFP成功(K#15 手塚)<K28-21R>
2Q11:39慶應#18(QB高木翼)→#29(RB2年李)19yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K35-21R>
3Q4:50慶應#18(QB高木翼)→#21(RB4年日笠)6yd Pass
TFP成功(K#15手塚)<K42-21R>
3Q6:38立教#4→#11(45yd Pass)TFP成功(K#17)<K42-28R>
3Q9:07立教#4→#82(8yd Pass)TFP成功(K#17)<K42-35R>
3Q9:44慶應#1(RB髙木康)48yd Run TFP成功(K#15手塚)<K49-35R>
4Q5:33 慶應#1(RB髙木康)2yd Run TFP 成功(K#15手塚)<K56-35R>
4Q7:35立教#30(6yd Run)TFP成功(K#17)<K56-42R>
4Q9:26慶應#1(RB髙木康)5yd Run TFP成功(K#15手塚)<K63-42R>
4Q10:23慶應#29(RB李)43yd Run TFP成功(K#15手塚)<K70-42R>

【STARTING MEMBER】
Offense
RT#72   犬飼 和真(1年)
RG#59  長戸 慧介(4年)
C#77      浅原 宏太郎(2年)
LG#51   清野 武尊(3年)
LT#71    高瀬 智正(3年)
QB#18   高木 翼(4年)
TE#88   岩澤 忠尚(4年)
WR#7    志水 秀彰(4年)
WR#19  田邊 翔一(2年)
WR#86  柴田 源太(1年)
RB#1   髙木 康貴(4年)
K#15   手塚 太陽(2年)

Defense
DL#69   岸 佑亮(1年)
DL#90   金子 陽亮(3年)
DL#97   長塚 大(2年)
DL#99   望月 洸(4年)
LB#4      工藤 勇輝(1年)
LB#40   小紫 雄祐(3年)
LB#54      ライト 太一(4年)
DB#1     兵頭 宣俊(2年)
DB#9     三津谷 郁磨(4年)
DB#22      松崎 泰光(3年)
DB#24   吉村 奬太(3年)
P#30      嶺岸 佑樹(1年)

【戦評】
立教のキックオフで始まった試合。慶応の1プレー目は#1RB高木が69ヤー
ドを独走して先制TDを決める。立教も好リターンから、最後はRB茂住が
エンドゾーンに飛び込み同点に追いつく。慶応は#86WR柴田へのTDパス
などで21━7と突き放すが、立教はキックオフリターンTD、パントブロック
からのTDとキッキングゲームで同点に追いつく。
第2Q終盤、#18QB高木がオーディブルを多用して、相手守備の隙を巧みに
突いていく。#29RB李へのTDパスなどで14点を追加して、35━21で
前半を折り返した。

後半に入っても慶応オフェンスの勢いは止まらない。第3Q、#21RB日笠へ
のTDパスを決めると、#1RB高木が再び48ヤードを独走して点差を広げた。
立教は第3Q、パスで2TDを奪い、4QにはQBを代えてキャッチアップを
狙う。しかし、慶応オフェンスの勢いは止まらず、その後も#29RB李の独走
TDランなどで最後までスコアし続け、70━42で「TOP8」の初戦を制した。

■進化したディフェンス
9月6日に関東学生リーグ「TOP8」が開幕した。そして、日本一を目指すユニコーンズ
のシーズンが、7日の立教戦でスタートした。70━42という試合のスコアだけをご覧
になった方は、こう思ったのではないだろうか。「オフェンスは前評判どおり好調だな。
ディフェンスが問題だな」。

しかし、この日のディフェンスは、結果こそ4TD(キッキングを除いて)を奪われたが、
内容は素晴らしいものだった。大型の立教OLに対してDLが押されない。そして、
スピードあふれるブリッツとスタンツでオフェンスのスキームを次々に破壊していく。
立教オフェンスに許したのはわずか195(ラン86・パス109)ヤードだった。
※ちなみに慶応オフェンスは567(ラン224・パス343)ヤード

選手起用にも筒井守備コーチの意図が表れていた。インサイドのLBに#5志茂と
#4工藤を起用したのだ。二人はサイズはないが、DB並みのスピードと思い切り
のよさを持っている。彼らのようなスピードのあるLBがブリッツでかき回すこ
とによって、DLによる2つのQBサックも生まれた。

「スピードでオフェンスを破壊する」。慶応ディフェンスが目指してきた守備の
コンセプトが遂にフィールドで体現され始めた。筒井コーチは「やっとスタートライン」
と試合後に言ったが、このスピードディフェンスがさらに成長し、強力なオフェンス
と組み合わされば、悲願の甲子園ボウル、日本一への距離がぐっと近づくだろう。

■選手層の厚みとフィジカルアップ
あるチームの監督がこんなことを言っていた。「慶応は選手層が厚いので警戒し
ている」。他チームと比べて、慶応がそれほど選手層が厚いとは思っていなかったが、
試合が始まるとそれを実感した。

後半に入ってばたばたと倒れていく立教の選手たち。慶応は試合を通して痛んだ選手
は3人ほどだったが、立教は10人近くが負傷していた。もちろん、オフから続けて
きたスタントHC流の厳しいトレーニングによる、選手のフィジカルアップが要因に
あるだろう。だが、一番の決め手は慶応の選手層の厚さだった。主力がほぼ出続けて
いた立教に対して、慶応は複数の選手を交代で起用していた。例えば、DBは4つの
ポジションを6人で、RBは1つに対して3人という具合で、出場する選手が常に
フレッシュだった。

ローテーションに参加できるのは、当然相手の戦力と比較した上で、一定以上の
レベルに達している選手。明治、法政、日大と厳しい戦いが続く中、1本目が
出ずっぱりになるようだと、今回の立教のようにけが人が続出する可能性も
否めない。2本目の選手たちがいかにレベルアップするかが勝敗のかぎをにぎって
いると言えるだろう。

■C浅原の安定感
70点を奪ったオフェンスの破壊力は素晴らしかった。ランは#29李と#1高
木の2枚看板に加えて、#18QB高木の走力も際立った。パスも19回投げて
14回成功と文句ない。#86柴田ら若手のレシーバーも安定したプレーを披露して、
ミスらしいミスはほとんどなかったように思う。

試合前に唯一オフェンスで心配していたのが、4年生のC鶴長の欠場だ。オフェンス
ラインは昨季に比べて格段に良くなったが、182センチ120キロと素晴らしい
サイズを誇る鶴長がけん引してきた部分が大きかった。彼の抜けた穴を埋める選
手がいるのかどうかに注目していた。

代わりに出場した2年生の#77C浅原は、常に安定したスナップとブロックを
供給し続けた。タイムアウト時にはサイドラインでOLコーチとコミュニケーション
をとって、試合を通してOLユニットをリードしていた。QBサックを許したの
も、1度だけ。そのプレーも#18QB高木がターゲットが見つからずに、やや
ボールを持ちすぎた感じだった。

これから対戦する強豪チームは、さらに高木へのプレッシャーを強めてくるだろ
う。若いオフェンスラインの成長が、慶応オフェンスの成否の鍵を握る。
(共同通信社 松元竜太郎・平成17年卒)