【再生PJ活動報告】第1回:統括 橋本拓哉(副将LB#33)より挨拶&インタビュー 2021.03.04

3年マネージャー 黒木 杏奈

平素より、大学Unicornsに多大なるご支援・ご声援をいただき誠にありがとうございます。

私共、慶應義塾体育会アメリカンフットボール部は、2019年10月15日の活動自粛直後から部員全員を対象にして、当部の抜本的な体質改革を目指す「再生プロジェクト」を田中部長主導のもと行って参りました。2020年3月4日の活動自粛解除後から現在も、部の問題解決に取り組み続けております。再発防止に努めるとともに、寺岡前主将の掲げる「応援されるチーム」の実現の為に、アメリカンフットボールの技術面だけではなく、人間としての成長を目指して参りました。

昨年度、活動自粛以前に存在した部の課題の中で、解決のための施策を多く実装し、部が”変わった”こと、新たに課題が出てきたことの両者がございました。今年度、2年目となる「再生プロジェクト」では、改めて昨年度のシーズンの中での課題抽出を行い、真のチームの再建のために継続的に活動しております。

Unicorns Netを通じて、我々の行ってきた「再生プロジェクト」の活動のご報告を行って参ります。

〜「再生プロジェクト」とは〜
活動自粛後に課題抽出を行い、当部の掲げる行動規範に基づいて、大きく13の課題に分類し、解決責任を負うワーキンググループ(WG)を発足させました。全員1つ以上のグループに必ず所属し、課題解決のために議論を重ね、解決のための施策を考え、活動をしております。

  1. 倫理WG
  2. 部則WG
  3. マナーWG
  4. 学業WG
  5. リクルーティングWG
  6. 新入生WG
  7. ストレングスWG
  8. アメフトテクニックWG
  9. アメフト理解度WG
  10. 選手スタッフ間WG
  11. 部員間WG
  12. 部員コーチ間WG
  13. 部員数WG

第一回目となる本日は、今年度プロジェクトの統括を務める橋本拓哉(副将LB#33)からご挨拶と、13のWGを取りまとめる立場としてのインタビューをご紹介致します。

再生プロジェクト統括を務める副将LB#33橋本拓哉

1.統括 橋本拓哉から皆様へご挨拶

平素よりお世話になっております。
2021年度大学Unicornsにて再生プロジェクト統括責任を務めさせていただいております、橋本拓哉と申します。

弊部は2019年に活動自粛をしてから、組織の抜本的な改革とよりよい組織風土の醸成を行うべく、学生主体で取り組んでいます。再生プロジェクト2年目として、今までマイナスだった部分をゼロにするだけでなく、チームにとってプラスになる施策を考えていく必要があります。そのために、過去に縛られず各部員の自由な発想を大切にしたいと存じております。

また、二度と元に戻らないために、学生として、体育会生として、フットボーラーとして求められる人物像を念頭に置きたいと考えております。昨年度から続く新型コロナウイルスの影響で、リモートでのミーティングが増え、部員間の意思疎通が難しい側面もございますが試行錯誤しながら協力し合って議論を進めております。

今までにない事態にも柔軟に対応し、部員一丸となりあらゆる施策を考えています。ご紹介いたしますWGの取り組みは、部員が一から考えたものになります。是非OBOGの方々にも、現在のUnicornsの様子と各自が考えている将来像を少しでも感じ取っていただけたら幸いです。

学生が日々部活動に取り組めているのは、OBOG、三田会、関係者の方々のご支援の賜物だと感じております。また、これからのUnicronsが素晴らしいチームになることを信じて、一層の努力を重ねて参ります。今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

2.統括の仕事とはなにがあるのか?

大きく分けて3つのことを行なっている。

・WGの枠組み決め
昨年の秋季リーグ戦終盤ごろから、各WGがどんな課題に取り組み、どんな施策を担当するのかという大まかな割り振りを自分なりに考えた。例年同じ施策をただ繰り返すのではなく、チームを取り巻く環境が年々変わっていく中で、WGの役割も変化に応じて適応させていく為の指揮を取っていた。一年間の見通しを決めてもらうためにも、枠組みと考え方を共有する必要を感じ、ワークシートを作成した。

・人材の配置
どのWGに誰を配置するかも慎重に考えた。WGの取り組み内容に興味がある人を配置したら深みは生まれるかもしれないが、その人達だけでは良い議論はできない。より様々な立場、学年ポジション関係なく議論が進んでいくような人材配置を心がけた。自分自身が、180人いる部員全員と深く話したことがあるわけではないが、各WGの議論を覗きながら、部員自身をどういうことに興味がある/どういうタイプの人なのかを見極めて、反映していった。そのためにも対話を重視し、対話の担い手を増やすべく、WGリーダーとは面談を行なっている。

・議論の進行管理
統括として最も大切だと思う使命は、議論が進んでいるか、内容がどうなっているかを逐一確認することだと思う。ミーティングの内容を追うだけではなく、最終的なゴールまでを見据えてWGが決断した選択の中で、実現可能に導く為に時にはアイディアを提供する。自分自身議論を把握することも難しいこともあり、議事録を作成してもらったり、こまめに連絡を取り合ったりしている。それがたとえ遠回りだったとしても、その中での経験が生かされることもあるので、WGの議論の中での決断を最優先したいと思っている。

3.統括として普段の生活で意識していることはあるか?

−効率性の上で、割り振ること
現在、各WGが今年の方針を決めて、施策を練り、実装のために議論を重ねているところで、週に2~3回ほどメンバーが集まってオンラインでミーティングをしている。自分は、そのほとんど全てに出席している。ミーティングの時間は各WGで調整しているが、統括としては、1日のスケジュール管理をうまくこなすことが大変でもある。統括ではあるが、副将でもあり、選手でもあり、チーム運営というタスクの他にももちろん選手としてアメフトの理解向上のためにも時間を割く。だからこそ、効率性をとても意識している。
いかにして、人に仕事を振って(自分の視野を共有する)いくか、日々考える。ただ、人に仕事を振る時も、闇雲に任せるのではなく、統括者としての視点を共有するために、議論の発端/詳細/未来の展望を必ず伝えるようにしている。相手に対して可能性の幅を与えて、もちろん仕事を振った後もサポートをする。

4.WGを行う中でどんな人間的成長があると思う?

−能動的課題解決ができる
人の行動決定の7割は自分の経験に基づくと言われている中で、能動的に課題解決できている人は少ない。なぜなら大所帯のチームでは自己表現が薄まるからである。そこで自らがチームに影響を与えたという、体験に裏打ちされた自信を持ってほしい。また、何か断念したり、つまずいたりしても、失敗で終わらせずに、考えを形に残せるまで諦めずに継続させる。一度は問題を解決できなくても、次なる挑戦につなげる環境を提供し、互いにサポートしながらチームを改善したい。日本一になるのは来年だからこそ、常勝させるチーム作りを念頭に置く。そのためには各個人の経験、それを集約したチーム全体の経験値を蓄積させなくてはならない。

−個人が日々PDCA(Plan Do Check Act)サイクルを持ち続けることができる
ある枠組みの中で課題を解決するには、まずは何か目標を達成したいと強く熱望する必要がある。個人で目標設定する際には、自分で何ができるのかを模索するのだが、そのためには自分自身や周りの人、所属している組織を理解しなくてはならない。一人一人がチーム全体の実情を正確に捉えることは難しいが、担当箇所に分かれてチームの一部分を把握し、全体で課題を網羅することは可能である。前田監督の言葉である「1人の100歩ではなく、100人の1歩」を体現できる。それこそがWGの意義であると考える。そして、目標に対する課題の発掘を各個人が関心を持って続けてほしい。課題さえ明確になり熱量があれば、PDCAサイクルの順序に則り解決できるはずだ。その思考回路が身につくことで、チームの課題解決のみならず個人のフットボールのパフォーマンス向上に作用すると考える。

5.大学Unicornsにどんな部員をふやしたい?

−考えを発信することのできる部員
発信する中では必ず聞き手が存在している。1対1で意見の交換を行ったとして、全体で100人いたら50個の議論が生まれる。ここまで多くの部員がいる中で考えの発信をそれぞれが行い、同時にそれぞれが聞き手にもなることで、コミュニケーションの量が増える。学年ポジション関係なく、どのような考えでも恐れずに発信し、耳を傾けて議論を生むことに意味があると思う。何事に対しても疑問を投げかけて、現状打破ができる考え方を身につけてほしい。

−積極的にチーム運営に参画する部員
下級生にしか見えない課題もたくさんあると思う。下級生は不安や悩み、時に不満も感じることがあると思う。共感する人がいない不満は”わがまま”だが、それがたとえ少数でも複数人になった時、不満は一つの“意見”になる。これまでは、少数派の意見がただわがままとして片付けられていたが、自分はそうしたくない。どのようにして、意見に変えるか。汲み取るかを大切にしたかった。だからこそ、下級生には課題に対する要望を積極的に出してほしいし、要領を理解している上級生は解決案を考えるべきだと思う。

 

様々な役割を抱えている橋本の取り組みに対する熱い想いとともに、皆様へのご挨拶とさせて頂きます。
次回以降、具体的な各WGの施策や部員の活動の様子をご紹介致します。
大学Unicornsとして日本一のチームを目指し、誠実に取り組んで参ります。
今度とも、何卒宜しくお願い致します。

再生プロジェクト統括であり副将LB#33橋本拓哉のプレー模様