【結果】2023リーグ戦TOP8第4節 vs中央大学

中央大にアップセット!待望の今季初勝利!!

試合結果

2023年10月14日(日) 慶應義塾大学 対 中央大学

14:00 Kick Off @アミノバイタルフィールド

天候 晴れ

1Q 2Q 3Q 4Q
慶應 0 0 0 7
中央 3 0 0 0 3

▼試合詳細は下記リンクをご覧ください▼

http://www.keio-unicorns.com/magazine_photo/2023/20231019-1.pdf

ゲームレポート

広報部会 山田健太(H7卒)
昨今、TOP8の上位陣として定着している中央大学に、我慢に我慢を重ねた試合内容で勝利。
スタッツが物語るように、数字では圧倒的に苦しい試合内容。
中央大学の4thダウンギャンブルを幾度となく止めたディフェンスの執念が勝利を掴み取った。

中央大のキックオフをリターンし、先制TDを決めた倉田直(LB#4)写真提供:宗國修治

試合の流れ

中央大学のキックオフでスタート。
スクイブキックで転がしてきたボールはリターナーまで届かず、2列目の倉田(#4)がピック。倉田はLBとしてここまで数多くのハードタックルで紹介してきたディフェンスの顔の1人。シンプルに中央を駆け上がると、その強い足腰を活かし3人くらいのタックルを外し、そのまま最短距離を走り抜け、いきなりの先制TDを奪う。
返しの中央大オフェンスを止め、続くシリーズでは、エンドゾーンに投げ込んだTDパスが一瞬成功に見えたが、着地段階で落球。FGも失敗となり無得点。
追加点は取れなかったものの、課題のオフェンスもゴールラインに迫ることができ、「この試合は期待できる」というスタート。
次のシリーズで中央大にFGを返され、7 対 3
しかしこの後、Unicornsのオフェンスは淡白であり、ディフェンスは執念で止め続ける展開。
両チーム1Qに取ったこの点がファイナルスコアとなり、待ちに待った、今シーズン初勝利となった。

リーグ屈指のディフェンス力

かねてから指摘しているように、今年のディフェンスは強い。
主将鎌田(#52)、私のイチオシでリャンメンで頑張る石塚(#75)を擁するDL陣、法政戦で爆発的な活躍を魅せたDB北田(#44)などを紹介してきたが、DL、LB、DBどこをとっても穴がないところが良い。

この10年ほど、ディフェンスは常に安定していたが、やはりどこか手薄なところがあるという印象はあった。今年のディフェンスは3階層全てにおいてレベルが高い。

チームを牽引する主将鎌田(4年、#52)

LBだと、リターンTDを決めた倉田は、この試合でも中央大の4thダウンギャンブルで鋭いブリッツからサックを決めるなど、相変わらずMVP級の活躍。
ソロタックルが多く、ついつい倉田に注目をしてしまうが、ILBの松尾(4年、#8)とOLBの林(3年、#3)の活躍も伝えたい。
必ずと言っていいほど、この2人はプレーに絡んでいる。
プレーの鋭さも素晴らしいのだが、その運動量も素晴らしい。
4Qの最後まで光り続けるスピードを誇り、ディフェンスを支え、頼もしい限り。
粘り強く、そして全員がしっかり集まれる今年のディフェンスを象徴する2名といえる。

プレーに絡む頻度が高いOLB林(3年、#3)写真提供:岡見清隆

オフェンスはどうなるのか

残念なことに、今シーズンのオフェンスは相当に苦しい。
主軸が抜けた穴、経験を積めなかった春シーズンを克服するには至っていない。
現在、オフェンスは9Q連続で点が取れず、4試合で僅か1TDという惨状。
まずQB水嶋(3年、#0)。
開幕戦こそ見ていて心配するほどであったが、試合ごとに切れ味というか、本来の良さが出てきていることは事実。
中央大戦においても、1Qの、際どく失敗になってしまったTDパスなどは素晴らしかったし、3Qあたりだったと思うが、プレッシャーがかかりブレイクしてから投じた60yほどの反則で取り消されてしまった幻のTDパスなど、脚力にプラスしてパス能力も上がってきている。

試合ごとに成長を遂げるQB水嶋(3年、#0) <写真提供:宗國修治>

強肩だし、リリースもまずまずなので、あと少しでドライブしきれるQBになれるのではないか。
レシーバー陣で注目は、ともにサイズ感のある丹羽(3年、#28)と水野(3年、#7番)。
イヤーブックを確認したところ、丹羽は185cm、水野は186cm。
水野はSFC出身となっているので高校未経験であろうが、この2試合で早くもエース級の活躍。キャッチ後のエフォートもしっかり出来ている選手で期待したい。

この2試合、エース級の活躍を見せている水野(3年、#7)<写真提供:宗國修治>

また丹羽は、チーム1のアスリートとイヤーブックでも紹介されている通り、躍動感、スピード感は目を見張るものがある。
DBとパンターを兼務していたが、オフェンスの得点力不足の切り札としてWRとしても積極的に投入されている。
1Qの惜しかったTDの落球、3Qあたりの反則で取り消された幻のTDも、丹羽のプレー。
どちらも未来を感じさせてくれたので、経験を積み、起爆剤となって欲しい。

Unicorns随一のアスリート、丹羽(3年、#28)<写真提供:岡見清隆>

そして、7 対 3 で迎えたUnicornsのラストドライブ。
残り時間は6分もあり、淡白なオフェンスをしたら中央大に逆転ドライブのチャンスを与えてしまう状況。
試合の流れからして、中央大に3分くらい残してオフェンスを渡してしまうと覚悟して応援していたが、渾身のドライブをみせ、最終的に中央大にオフェンスは回してしまったものの、残り時間は僅か10秒と、逆転のチャンスを潰し切ってくれた。
TDこそあげられなかったが、TDに値する素晴らしいタイムイートをみせたラストドライブであり、素晴らしかった。
このリズム、集中力を続けてくれれば絶対に報われると確信した。

中央大戦での勝利後、観客に挨拶するUnicorns<写真提供:木村寛>

最後に

試合後、主将の鎌田は泣いていたように見えた。あくまでも、そう見えただけで確信はないが。
今シーズン、彼の背負った試練はただならぬ物であったと思うし、それを乗り越えての勝利と思うと、こちらも目頭が熱くなった。
当たり前のように勝ち星をあげる試合もあるだろうし、このような重い一勝もある。
勝ちが全てではないが、失った自信を取り戻し、勝ち負けとは違う、真に強いUnicornsに向けた第一歩を踏み出せたのではないかと思うし、そうであって欲しいと願いたい。
頑張る現役諸君の背中を押せる大声援を、観客席で、中継越しに、そして心の底から送り続けましょう!!

試合後のハドルで激励する蜂須賀新会長。