2020シーズン開幕直前インタビュー企画「新生ユニコーンズ、リーダーたちの決意」 2020.10.23

松元 竜太郎(H17年卒)

「学生の主体性を育てる」「応援されるようなチームに」新生ユニコーンズ、リーダーたちの決意

10月25日、国士館大との一戦でいよいよユニコーンズの2020年リーグ戦が開幕する。昨年の10月から今年の3月まで約半年間の活動自粛を経て、チームは4月に新体制へと移行。その矢先にコロナ禍に見舞われ、春のオープン戦がすべて中止となる中で、未だかつてないシーズンを経験してきた。1部BIG8でようやくリーグ開幕を迎えられることになったが、今季はリーグ間の昇格、降格がない。チームはこれまでにどのような改革を行い、何を目指して戦うのか。前田晃監督と寺岡衆主将に話を聞いた。

―4月にフルタイムの専任として新チームの監督に就任した。その経緯は?

前田晃監督(=以下前田K)
昨年の不祥事、活動自粛を受けて、学生を指導する専任監督の存在が必要だと提案させてもらった。新体制が模索される中で自分に白羽の矢が立った。言い出したからには責任を取らねばと思い、会社を辞めて不退転の決意で引き受けることにした。

―どのようにチームの改革を実行してきたのか?

前田K
学生たちのマネジメント領域を広げること、自主性を育てることに注力してきた。上から指示を出してそれを実行するのではなく、学生が自分たちで考えて行動できるようになることを目指している。私は学生たちのアイデアに対して、アドバイスをするスタンス。具体的な例を挙げると、コーチとコミュニケーションを取りながら学生たちも参画してプレーブックを作った。オープン戦では学生がプレーコールを行うことも準備していた。企画したことの一部が、コロナ禍により実現できなかったのがやや誤算。

―主将の立場ではどのようなことを実践してきたのか?

寺岡衆主将(=以下寺岡S)
アメフト以前の問題が多かったので、私生活から見直し、チームのスタンダードを上げること、応援されるようなチームになることを目指した。具体的には、ユニコーンズの部則には「1.学生日本一の追求」「2.人間性豊かな人材の輩出」という二つの柱があるが、これまでは1番ばかりが強調されていて、2番がおろそかになっていた。だから部則の順番を変えて、「1.人間性豊かな人材の輩出」を第一に取り組むことにした。

―女性の社会人スタッフとして、OGの兼田麻美氏がチームをサポートしている。この取り組みの意図は?

前田K
目的は女性部員のメンター的な存在になってもらうこと。男性部員については、監督やコーチがいるが、女性にとってはこれまで同姓で何でも相談できるような存在がなかった。チームには多くの女性部員もいる中で、彼女たちが安心して活動できるようにした。実際に、オンラインでのコンプライアンス研修や面談などの取り組みも始まっている。

―コロナ禍により春から試合ができず、1年ぶりの公式戦となる。不安はないか?

寺岡S
試合勘が鈍るというようなことはあると思うが、自分たちにとってメリットの方が大きかったと思っている。つまり、フットボールができること、試合ができるというこれまで当たり前だったことに対して、みんなが感謝する気持ちを持つことができた。

―今季は勝ち続けてもTOP8に昇格することができない。モチベーションが保ちにくいと思うが、目標はどのように設定したのか?

寺岡S
もっとも難しかったところ。もともと日本一を目指していたのが、リーグ昇格が目標となった。何とかチームをTOP8に復帰させて卒業したかったが、それすらも叶わなくなった。ミーティングを重ねたが、形として残る明確な目標が見いだせない中で、意見もうまくまとまらなかった。一つだけ言えるのは、みんな試合に勝ちたいということ。だから、目の前の相手を圧倒して全勝しようということだけは共有した。4戦全勝してリーグ1位となり、ボウルゲーム(北海道・東北代表と対戦)に勝つということを目指している。

―チームの中長期的な目標を教えてほしい。

前田K
再生プロジェクトもふまえて、4年計画でチームを改革していこうと思っている。今年の1年生が最上級生になった時、チームに良い文化が根付き、学生たちが成長できる環境だと確信を持てるようにしたい。今季ですべてが変わるわけではないので、学生たちと1年ずつステップアップしていく。繰り返しになるが、根底にあるのは学生たちのマネジメント領域を広げること、自主性を育てること。それが、人間的な成長につながると考えている。

―シーズン開幕に向けて意気込みを。

寺岡S
今年はアメフトの前に、人としてやるべきことをしっかりやって、チームのスタンダードを上げるということに取り組んできた。プレーブック作りに参画し、コーチとのコミュニケーションも深めた結果、自分たちのフットボールが何かということも、より理解度が高まったと思っている。4年間やってきたことをフィールドでぶつけて、圧倒して勝ちますので、応援よろしくお願いします。

前田監督

寺岡主将