未曾有の困難と向き合った2020年シーズンを振り返る 2020.12.10

山澤真樹(S58年卒)

ユニコーンズは全勝でBig8リーグ優勝を果たした(写真提供:岡見清隆さん)

一部Big8リーグ優勝という成績に対しては、素直に2020Unicornsを称えたい。

昨年の不祥事から活動自粛、リーグ自動降格という危機から、さらにコロナ禍を乗り越え、チーム再建に邁進した事は、想像を絶する苦しみを伴ったと思う。特に寺岡衆主将を始めとした最上級生の努力には敬意を表したい。

今季はイレギュラーなリーグ戦運営のため、ここまでUnicornsが出場したゲームはわずかに4試合である。筆者はブロック最終節の神大戦をネット観戦できなかったものの、かなり堅くなっていた緒戦から比べると、格段にチーム力は向上していった。

未曾有の困難の中、ユニコーンズを率いた主将・LB#4の寺岡(4年、都立西)

オフェンスは、オールジャパンに選出された簗瀬真史(3年)を中心とした3、4年生ラインが牽引役となり、好RB陣の走路を空けた。かつてのスーパーランナー李卓さん(H29卒)を彷彿とさせるRB大河原陸(3年)は、シーズン246yds獲得で平均10.7ydsという傑出した走りぶりで、Big8のトップランナーとなった。また1年生ながらリーグ6位の記録を残した石黒真人や、このゲームで活躍した藤田嵩介(2年)など、層の厚さを見せつけた。

QBは上級生から下級生まで比較的均等に出場機会が与えられ、かなり良い経験が積めただろう。小柄ながらパッシングコントロールの優れた久保田大雅(3年)、大型新人の又平憲人(1年)の活躍が目立つ。特にQBは4年生が不在のポジションなので、来季以降が楽しみだ。パッシングで派手さはなかったものの、インサイドレシーバー(TE・SB)の斉藤士力(4年)、鈴木雷蔵(4年)、伊藤涼介(2年)たちの活躍が目立った。

(写真提供:鈴木尚貴さん)

ディフェンスについても、フロントラインとLBの連携が良く、かつアグレッシヴに相手オフェンスにプレッシャーを与え続けて、今回のゲームではQBサックを量産している。主将LB寺岡、DL佐藤理貴(3年)などの活躍が印象に残る。セカンダリーもベテランのDB/Kの山本小次郎(4年)や千葉優介(3年)を中心に堅守を見せてくれた。

そして特筆すべきはキッキングゲームの進歩だ。パント、スコアリングキックでリーグ二冠という偉業を成し遂げた山本のパフォーマンスは大きな戦力だった。パントの平均飛距離45.9yds、FG成功率80%(4/5)、そして17回のTFPキックは全て成功させている。スコアリングでも堂々の2位であり、彼の活躍が2020 Unicorns全勝の大きな原動力であったのは間違いない。

チームの原動力の一人となったDB/K#22山本(4年、青山学院)(写真提供:鈴木尚貴さん)

最後にひとつ付け加えるならば、今季のチームはモラルの面で大きく改善されたチームに変わった。ゲーム中の審判への態度、ラフな反則をしなくなった等「これぞ一流チーム」といえる姿に変貌しつつある事は本当に嬉しかった。

Big8を制したUnicornsは、12/20に開催される「ホワイトボウル」に出場し、北海道・東北の代表チームと一戦を交える。この試合にもUnicorns Footballを以って勝利し、今シーズンの有終の美を飾って欲しい。

そして来たる2021年、リーグ戦が通常通りに行われれば、いよいよTop8復活への道が本格化する。今からその戦いを楽しみにしている。

(写真提供:岡見清隆さん)