王者・法政大に肉薄するも僅かに及ばず。。
試合結果
2025年5月3日(土) 慶應義塾大学 対 法政大学
15:15 Kick Off @富士通スタジアム川崎
天候 晴
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 | |
慶應義塾 | 3 | 3 | 0 | 8 | 14 |
法政 | 7 | 0 | 7 | 3 | 17 |
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ゲームレポート
山田健太(H7年卒)
14対17
3点を追うUnicornsの残り1分のラストドライブ。
法政陣に攻め込みBall on 20ながら、4th downで残り2y。
リーグ戦であれば同点FGを狙うシチュエーションだがギャンブルを選択し失敗。
春の試合とは言え、法政からの金星は僅かに届かず敗戦となったが、素晴らしいチャレンジであったと思うし、実にナイスゲームであった。
ゲームを振り返りましょう。
法政のオフェンスで試合開始。
リズム良く攻め込まれ、見せ場なくTDを奪われる。今年のディフェンスは試合の入りが本当に悪く、あまりに簡単に失点でのスタートとなる事が多い。ここは大改善ポイント。
ただ、この後はなかなか締まったディフェンスに。法政相手ゆえ、完璧にとまではいかないものの、要所要所でしっかりと踏ん張る。
DB#20小島(4年・慶應義塾)のインターセプトに加え、ファンブルリカバー、パントではレシーバー、リターナーの#82飯塚(4年・慶應義塾)の素晴らしいタックルがファンブルを誘うなと、前半だけで3つのターンオーバーを奪った。
飯塚は主務を務めながらのプレイヤー。
選手としての時間が制約されている中で高いパフォーマンスを発揮し、リーダーとしての責務を全うしてくれている。
早慶戦のキッキングでエースレシーバー#3田村(4年・慶應義塾)の献身的なキッキングでのプレーを褒めたが、この試合でも田村は素晴らしいカバーを何度もしていた。キッキングを大切にしている姿勢が4年生から伝わり、とても良いなと感じる。

キッキングでも活躍の光る#3田村(4年・慶應義塾)
オフェンスは、早慶戦の後半で見られたランとパスを織り交ぜるスタイルを踏襲。
割とドライブは出来るのだが、早慶戦同様、レッドゾーンに入ると弾き返されてしまう。
前半はTDを奪えず、2FGにとどまり前半を6対7で折り返す。
キッカーが入れ替わりFGに一抹の不安を持っていたのだが、この春抜擢された#45北村(2年・宇都宮短大付属)は期待できそう。前回のレポートでキックの初速が違うと紹介したが、この試合も冷静に2発叩き込みチームに大貢献。慣れてくれば35yをしっかり得点圏と認識できそうで心強い。
後半に入ってもゲームの大筋は変わらず、ディフェンスは要所要所を締めつつ踏ん張るが1TDを奪われ6対14に。
オフェンスも変わらずエンドゾーンが遠く、3Qが終了。早慶戦から数え7Qに渡りTDが奪えてなく、この得点力、決定力の不足は致命的。
何にしても、しびれる展開のまま4Qに。
そして、この春、もっともゲームレポートに登場する男、WR田村がQB#8山岡(4年・佼成学園)からパスを受け、そのままエンドゾーンまで快走。遂に法政から待望のTDを奪う。
2点コンバージョンも、QB山岡がその脚力を生かしエンドゾーンへ走り込み14対14の同点となる。

オフェンスを率いるQB#8山岡(4年・佼成学園)
その後、法政の猛攻を受けるもののゴール前2-3yでの強烈な粘り腰も見事。
FGを決められてしまったものの、あの強力オフェンスを気迫で押し返し最少失点でオフェンスにバトンを渡す。
14対17 残り2分弱。
冒頭の通り、このバトンを受けたオフェンスは20yまで攻め込むもFGを選ばず、そして2y及ばず敗退となった。
特筆すべきはディフェンスの勝負強さが戻ってきたところ。
エースDB#20小島(4年・慶應義塾)のマンツーマンからの見事なインターセプト、この日も大暴れのDL#57天野(3年・鎌倉学園)など主軸の活躍もあったが、フィールド選手の常時半分以上は2年生であり、選手層の薄さという怖さはあるものの、成長の伸び代しかない若手がこれだけの経験を積めている状況は素晴らしく、主軸が怪我から戻ってきても熾烈なポジション争いになる事は必至で至極楽しみな状況。
そして、よくこの若手ディフェンスで法政相手に凌いだものだと感嘆してしまう。

インターセプトを決めたDB#20小島(4年・慶應義塾)

この日も大暴れのDL#57天野(3年・鎌倉学園)
LB#33山下敬輔(2年・慶應義塾)は、ここまであまり見てない選手であったが、なかなか良い動きを見せていたし、DL#71篠原(2年・湘南藤沢)LB#47松岡(2年・鎌倉学園)、DB#17山下遥(2年・慶應義塾)あたりは、試合ごとに存在感を出せてきていて頼もしい。

期待の膨らむDB#17山下遥(2年・慶應義塾)
オフェンスも改善はしてきていると思う。
ランパスを織り交ぜる今年のスタイルも、選手層とフィットしそうである。
ただ、ラインズの何かがあってなく、ロスタックルやサックなど、流れを止めてしまう痛いミスが多い。
QB山岡も、プレースタイルに合ったオフェンスになっていて期待は持てるのだが、まだ判断が遅く感じる瞬間は多いし、イージーなパスミスもある。
この辺りは、この春、どんどん経験を積み克服していって欲しい。
昨年までのように複数のQBを使い分ける事はなく、今シーズンは今のところ山岡1人に託し続けている。セカンドQBの育成も必要だろうが、まず山岡に経験をという意図が伝わってくる。
かなり一方的な敗戦となった関大戦。
後半に気を吐いた早慶戦。
大いなる飛躍を見せてくれた法政戦。
課題は多いものの、色々な可能性、そして上向きのベクトルを感じさせてくれる好ゲームであった。
好ゲームで満足する事なく、また上を目指し、秋には雪辱を果たせるよう頑張って欲しい。