【清水利彦コラム】数字で見る「甲子園ボウルの歴史」 2021.12.16

清水 利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com

12月5日、全日本大学選手権・西日本代表校決定戦がおこなわれ、関西学院大学が34―24で立命館大学を下し、6年連続の甲子園ボウル出場を決めた試合を、テレビで観戦しました。
勝負の分かれ目は、前半第1Qにあったと考えます。
関学が早々と先制TDをあげ、(K7―0R)次の攻撃権でも立命陣深く攻め込みましたがTDを奪えず、FGを狙いました。このFGを立命が見事ブロックし、立命に攻撃権が移ります。「これはモメンタムが大きく変わった。立命の流れになった。」と思ったのですが、直後のショートパスを関学にインターセプトされ、再びレッドゾーンから関学の攻撃となります。
これを簡単にTDに結び付けられてK14―0Rとなり、実質的にはここで勝負がついたと感じました。
後半は立命が全く互角に戦ったのですが、第1Qの2ポゼッション差がどうしても詰まらず、追いすがっても、またすぐに引き離されるシーンが幾度も繰り返されました。攻撃獲得距離は立命が100yd近く上回っているにもかかわらず、結局、最後まで同点や逆転の場面は一度もなく、関学を慌てさせることは出来ませんでした。
関学の「試合巧者ぶり」が目立った試合とも言えるでしょう。

12月19日の甲子園ボウル(関学vs法政)を控えて、少しだけ「数字で見る甲子園ボウルの歴史」を確認してみましょう。

これで関学は6年連続甲子園ボウル出場となります。実はこれは関学としては歴代第2位の長さの連続出場記録になります。ただし、第1位は1949年(第4回甲子園ボウル)から1981年(第36回)までの33年連続甲子園ボウル出場という、とてつもない記録がありますので、これは比較になりませんね。

関学は今年勝つと4年連続学生王座となります。ただし、過去には1973年~77年の甲子園ボウル関学5連覇があります。日大も1978年~82年の5連覇があり、(社会人チームには5連覇はないので)この二つがアメリカンフットボールの日本記録ということになります。今、関学はその大記録更新に挑戦しつつあると言えるでしょう。

関学は「甲子園ボウルで猛烈に勝ち続けている」という印象がありますが、実際のところ甲子園通算成績は27勝23敗4分と決して勝ち続けているわけではなく、近年になってようやく勝ち越しを果たしています。かつては日大になかなか勝てない時期がありました。
甲子園での勝率ですと、立命館(8勝1敗)、京大(6勝2敗)の方が上ということになります。

関学が築き上げた最高の数字とは、甲子園ボウル優勝31回(同点引分を含む。2位日大21回)、そして今年で甲子園ボウル出場55回目(2位日大35回)、この二つでしょう。今年で76回目の甲子園ボウルでこの数字を作るために、どれだけの努力・苦労を脈々と続けてこられたのかと改めて思います。

法政の出場は9年ぶりで、2006年以来15年ぶり5回目の学生王座を目指します。法政は1994年~2001年の8年連続出場があり、1994-2009の「16年間に14回甲子園出場」という記録も持っていますので、「関東はいつも法政が出場」というイメージを持っておられる方も多いのではないでしょうか。
法政は甲子園ボウルで4勝12敗1分と勝率がよくないのですが、対関学戦に関してはは3勝3敗1分と全く互角です。法政が甲子園初出場の時、関学を力でねじ伏せて勝利しており(1972年、法政34―20関学)、それ以来、「我々は関学には相性が良い」と考えているのかもしれません。

直近13年間で1ポゼッション以内の試合が3回しかなく、最近は緊迫した試合が少ないと感じています。やはりフットボールは、1ポゼッション(8点差)以内の試合が断然面白いですね。
法政は1994年から5年続けて1ポゼッション以内の大接戦を繰り広げており、「法政の出場する甲子園ボウルは面白い」という印象もあります。(ただし、5年間の結果は4敗1分)
今年も、手に汗握る素晴らしい接戦を繰り広げていただくよう期待しております。

ところで皆さんは、毎日新聞社が出版した「毎日甲子園ボウル 70回の軌跡」という本をご存じですか?2015年の第70回大会を機に出版されたもので、70回分の克明な記録が掲載されているほかに、当時の出場選手たちの語る「想い出」が記載されており、本当に興味深い資料となっています。筆者もこの本から得た情報を、Unicorns Netに何度も活用させていただきました。
慶應義塾大学からは、「第1回大会 菱田茂さん」「第3回大会 藤本武さん」「第4回大会 紺野信夫さん」「第5回大会 渡辺光章さん」がそれぞれ出場選手として、思い出を投稿されています。

「毎日甲子園ボウル 70回の軌跡」表紙

 

この本は、現在、アマゾンでも販売されている様子を確認出来ませんでした。絶版になっているのかもしれません。所有されている方は大切にしてください。

慶應義塾大学は、甲子園ボウルに関する二つの記録を持っています。
①第1回大会の優勝校であること。(第3回も)
②優勝経験がありながら、一番長く学生王座から遠ざかっているチームであること。
(73年間遠ざかっている。2位立教大学の56年間。3位京都大学の25年間)
※関西大学は1948年の初優勝以来、61年間の空白の後、2009年に2回目の優勝を遂げている

この二番目の決して褒められない記録は、我々自身の手で破棄しなければなりません。ユニコーンズに対する、更なる精一杯のご支援・ご協力・ご声援をお願い申し上げます。

「清水利彦のアメフト名言・迷言集」
https://footballquotes.fc2.net/
「今週の名言・迷言」を木曜日ごとに更新しています