昭和52年(1977年)卒 清水利彦
shimizu.toshihiko2@gmail.com
(清水 前書き)
11月27日の桜美林戦(アミノバイタルフィールド第1試合)応援に駆け付けたところ、同日同じ場所で第3試合にユニコーンズMNP(医学部)vs東大医学部との試合がおこなわれることを知りました。これも何かの思し召しと考え、試合を見学し、MNPの様子をコラムにて皆様にお伝えすることにしました。
試合は27-12でユニコーンズMNPの勝利!ランプレーのスピードなど、「なかなか大したものだな。これならTOP8やBIG8の試合に出てもそこそこ活躍できるのではないか」と思える選手がいました。クォーター8分と試合時間が短いのは気の毒な気がしました。
オンスーツが全部で25名と、メンバー不足だけは隠しようがないのも事実です。改めて山田深監督にメールにて、チーム事情や、コロナ禍発生以後の練習・試合状況をお伺いしたところ、我々の想像をはるかに超える大変なご苦労をされてきたことが良くわかりましたので、皆様に知っていただきたいと思います。
山田深監督との、MNPチームの現状に関するインタビュー
Q・チームの正式名称について 慶應医学部、MNP、信濃町、四谷部などいろいろな表記があるようですが、Unicorns Netではどのように表記すれば良いですか。
A・ご承知いただいている通り、慶應義塾大学の学生団体としての正式名は「慶應義塾体育会四谷部アメリカンフットボール部」で、関東学生アメリカンフットボール連盟に登録しているチーム名称が「UNICORNS MNP」になります。私や田中部長が入部した時には、チーム名がありませんでしたが、1992年にユニコーンズを名乗るようになりました。当時のOB総会資料には、河村朗夫主将から小布施均ヘッドコーチにユニコーンズの名前を頂戴したいという提案に至った真意が掲載されています。
体育会四谷部は医学部内では「医学部体育会」とも呼ばれ、ユニコーンズファミリー内では昔から「医学部」として識別いただいておりました。アメリカンフットボール三田会監督部会では「信野町」と称することにしていますが、あまり浸透していないようです。Unicorns Netでは岡田大行様(三田会広報部会情報発信チームリーダー)と相談し、ユニコーンズMNP(医学部)と記載いただいています。
Q・2018年に一部5位という戦績でしたが、その後の戦績や部員数推移についてお教えください。今年の戦績はどうなっていますか。
A・2018年は医科歯科I部リーグ2勝3敗、善戦虚しく4位(順列5位)で2部に降格(医科歯科リーグは入れ替え戦がなく自動降格)してしまいました。2019年は同II部リーグ3勝0敗、1位(順列1位)で1部に復帰し、さあこれから、というときにコロナ禍に見舞われました。それ以降の活動状況は下記の通りです。
<2020年活動状況>
2020年2月28日には政府の緊急事態宣言に先駆けて医学部長から課外活動の自粛が求められました。その後、春、夏にかけてはオンラインミーティング以外行えない時期を過ごします。一般の学部の課外活動は6月から制限つきながらも再開を認められていましたが、医学部は10月9日になり、病棟での実習に参加する学生を除いて活動を再開することを認められました。
待ち望んだこの発表に歓喜したのも束の間、「ただし、ボールを使用してはならない」という厳しい条件が加えられるのですが、それでもチームメイトが顔を合わせ、グランドで体を動かせるという当たり前のありがたさを実感したものです。
本学医学部は他大学と比べて体育会活動への理解が深かったことは幸いでした。医科歯科リーグの他チームは練習を再開できていないところがほとんどで、医科歯科リーグはリーグ戦としての開催を早々に断念しながら、なんとか1試合でも、参加できるチームでカードを組むという調整が進められました。連盟から提示された日程枠は年末最後の12月28日でした。一縷の望みをかけて練習を続け、12月8日にはオンスーツでの練習まで漕ぎ着けましたが、最終的に対外試合までは大学から許可が降りず2020年シーズンは試合がないまま幕を閉じました。12月28日に嵐が丘で集合写真を撮影したのがこの年の最初で最後のユニフォームでした。
なお、2020年シーズンの医科歯科リーグ所属チームで公式戦に参加できたのは東京大学医学部だけでした。
<2021年活動状況>
2021年1月7日には再び緊急事態宣言が発出され、3月に解除されるまで部活動は再び禁止となりました。その後、練習は時間を制限して再開されましたが、7月に3回目の緊急事態宣言が発出された際には、2週間に1回のPCR検査を受けて陰性を確認することが練習参加の条件となりました。
9月の段階でユニコーンズMNPはリーグ戦参加の意思を連盟に伝えていましたが、医科歯科リーグの他チームは活動中止、個人練習のみというところが多く、2021年も医科歯科リーグのリーグ戦は不成立となり12月19日に東京理科大学(3部リーグ所属)とオープンリーグ形式(練習や選手数が不足しているチームへの救済措置としてキックオフなし、1Q10分のランニングタイムなどの特別ルールを適用)での対戦が組まれます。
実は、カードが決まった10月になっても大学から対外試合は認められておらず、またしてもこのまま試合をすることなくシーズンが終了する可能性がありました。また、依然として病棟実習に参加する学生は練習に参加できなかったため、試合に向けてのチーム練習が圧倒的に不足している状況でした。このような中で、大学ユニコーンズとスクリメージをさせていただく話が持ち上がりました。
田中部長、前田監督をはじめ選手、スタッフ、コーチの皆様に多大なるご協力をいただき、この企画は12月9日に実現することになります。同じ学内なので対外試合には該当しないということで学生課の了解をとりつけ、皆様にはPCRを受けてまでスクリメージに臨んでいただきました。また、薮内三田会会長にも審判をご担当いただきました。社中協力の精神によってこのような機会を頂戴することができたことを、改めて感謝申し上げます。最終的に対外試合制限は解除され、東京理科大学との2年ぶりの公式戦は無事に成立し(慶應医14‐47東京理科)、シーズンが終了しました。
<2022年活動状況>
2019年には24名であった選手数ですが、2年間まともに勧誘ができなかったこともあり、2021年には17名まで減少しました。2022年は再び7人制への移行という悪夢もあり得る危機的な状況でありましたが、熱意のこもった勧誘の結果1年生8名が入部し、25名でシーズンを迎えます。医科歯科リーグも3年ぶりに対戦が組まれることになりました。10月末には実習中の学生も練習に参加することが許可され、試合に向けて準備を進めてきました。
今シーズン、リーグ戦に参加できたのはMNP以外に東京医科大学、東京大学医学部、日本大学医学部・歯学部、昭和大学の合計5校です。2019年には10校(7人制も入れると16校)が登録されていましたので、医科歯科リーグはコロナ禍によって多大なダメージを受け、存亡の危機にあると言えます。かつて優勝を争って凌ぎを削った慈恵医科大学、獨協医科大学などの有力校が今シーズンのリーグ戦に参加できなかったことは大変残念です。ライバルあってのリーグ戦ということを痛切に感じています。
大学が体育会の活動に理解があることに加えて、ユニコーンズファミリーの絆という恵まれた環境にあぐらをかくのではなく、ユニコーンズMNPは医科歯科リーグ、ひいては学生アメリカンフットボールの命運を担って先導していかなければならない立場にあることを強く認識している次第です。
Q・山田深監督、速水助監督のお二人には、以前コラムに登場していただき、お仕事内容等について報告しました。お二人からのご挨拶や近況報告を頂戴できますか。
(ご存じない方は、三田会コラム | アメリカンフットボール三田会 (keio-unicorns.com) にて、2022/3/25号、2022/4/8号をお読みください)
山田深監督A・ 私は2021年から関東学生アメリカンフットボール連盟所属チームの監督委員会に医科歯科リーグの代表として参加し、運営にかかわるようになりました。普段勤務している病院はまだまだ感染対策が厳しく求められており、マスクをしていない選手に近寄ることについつい一瞬気が引けてしまいます。
速水助監督A・ 近況報告を申し上げます。2022年1月に米国ヒューストンから帰国して現在はつくば市在住。春は沢山の新入部員達を迎える中、MNPユニコーンズ選手達の練習を直接見に何度も嵐が丘まで足を運びました。また幼稚舎フラッグのチーム2009ヘッドコーチをやらせていただいた時の選手が現在、大学ユニコーンズの一員として藻掻きながら頑張っている姿を遠目で見ております。
MNPユニコーンズとしては、大学ユニコーンズや高校ユニコーンズとの交流も順調と感じており、ユニコーンズファミリーの素晴らしさを改めて感じる今日この頃です。
Go Unicorns!!
※清水注 医科歯科リーグをご存じない方のために、概要をお知らせします。
・1976年に医学部、歯学部のチームが大量に加盟したため、医科歯科リーグが発足しました。
・アメリカンフットボールでは国内唯一の「学部単体で加盟できるリーグ」です。
・学業上の特殊事情や6年制であることから、4年制の学校とは別のリーグ編成で活動しています。
・選手としての登録が原則として6回まで可能。大学院生も登録でき、最大8回登録が可能となります。
・医学部、歯学部、薬学部(規定30%)以外の医療系学部の学生は、全体の選手数の70%以内まで登録できます。
・試合時間は1クォーター8分(2021年までは10分)
・ユニコーンズMNPは12月18日日曜16:45よりアミノバイタルフィールドにて東京医科大学との試合を残しています。
(清水 あとがき)
他校の医科大学においては、コロナ禍の影響により医科歯科リーグに所属する16校のうち、11人制の試合に参加できたのが5校だけ(7人制に参加したチームあり)という状況であることを、私は全く知りませんでした。山田深監督が述べておられるように、「リーグ存亡の危機」にあることが良くわかりました。
ユニコーンズMNPがコロナ禍により本当につらい3年間を過ごしておられたと知り、よく頑張って来られたと、賞賛と激励の言葉をかけたいと思います。
その中で見出せる希望は、今年8名の新入部員を獲得できたことでしょう。これが無ければ部員数制限により医科歯科リーグへの参加資格を失うところでした。
何度も同じことを繰り返しますが、私はユニコーンズMNP(医学部)を「ユニコーンズファミリーの宝」であると受け止めており、皆様のご支援ご協力のもと、今後も活発な部活動を続けてゆかれることを心からお祈り申し上げます。
その他、女子タッチ、ジュニア(中学)、幼稚舎などのチームにおいても、コロナ禍の影響を多大に受けておられることと思います。どのチームも応援したいと考えています。もし私のコラムでそれぞれの状況の紹介を希望なさるのであれば喜んで文章を起こしますので、お気軽にご相談ください。
「清水利彦のアメフト名言・迷言集」
https://footballquotes.fc2.net/
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