【清水利彦コラム】新春初笑い特別企画「NFLヘルメット・珍品コレクション」 2023.1.12

清水 利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com

皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は「新春初笑い特別企画」と称して、NFLヘルメットのロゴマークで、「へえ、昔はそんなものもあったの?」と笑っていただけるような珍しいデザインを集めてみました。

※極めて薄っぺらな知識と乏しい資料をもとに書いております。「たぶん、こうだったんじゃないか」という推測も入っていますので、記載内容に誤りがありましたら、遠慮なくご指摘ください。

NYジェッツ 1963年初代ヘルメット

最初は、ニューヨーク・ジェッツの珍品です。ジェッツは1960年に創設されましたが、最初はNYタイタンズという名前で、1963年からジェッツと名乗っています。そのジェッツの初年度、一年間だけ採用されたヘルメットです。
細身のジェット機の機体にJETSの文字を入れなければならないので、デザイン的にどうしても無理があります。ずいぶんデブな機体となり、オットセイかアシカのシルエットのように見えます。すぐにロゴが変更されてしまったのも当然ですね。

ダラス・カウボーイズ 1960年初代ヘルメット

こちらは1960年設立のダラス・カウボーイズの初期のユニフォームです。星の形は今も同じですが、二重に縁取りされた現在のロゴの方がずっと洗練されたイメージがあります。初代はベタッとした紺色の★で、なんだかダラス・カウボーイズというよりは「サッポロビール・カウボーイズ」のような感じです。

クリーブランド・ブラウンズ 1965年幻のヘルメット

クリーブランド・ブラウンズ(1946年設立)と言えば、「ヘルメットにロゴマークの無い、唯一のNFLチーム」として知られていますが、実は一度だけロゴマークを採用しようとしたことがあるのです。1965年のプレシーズン試合に「CB」のロゴを載せたヘルメットを登場させましたが、「こんなのはダサい!これなら無い方がマシ!」と、さんざん不評を買い、シーズン開幕戦には元のロゴ無しヘルメットに戻しています。一度も正式試合で使用されなかった「幻の珍品」と言えます。

ジャクソンビル・ジャガーズ 1995年幻のヘルメット

1995年設立のジャクソンビル・ジャガーズは、当初このようにジャガーの全身をデザインしたロゴに決めたのですが、「自動車のジャガーのマークに、シルエットがよく似ている」と指摘され、現在の豹の顔の形に急遽変更しました。こちらも幻の珍品です。

ニューイングランド・ペイトリオッツ 筆者が「最もカッコ悪いヘルメット」第1位に推す1960年の初代ヘルメット

「カッコ悪いヘルメット」のナンバーワンと言えば、何と言ってもニューイングランド・ペイトリオッツの初代ロゴマークでしょう。1960年に設立され、初年度、たった一年間のみ使用されました。いかにもマヌケっぽいロゴマークで、背番号との配置バランスもヘンです。これが「NFL史上最悪のヘルメット」だと思っています。球団を創設した最初の大事な年なのに、このマークで良いと決めた当時の責任者は誰なのでしょうね。「責任者、出てこい!」と叫びたいです。

1961年ペイトリオッツ二代目 兵隊さんロゴマーク

それに比べて「ペイトリオッツの二代目ヘルメット」は私のお気に入りでした。これはアメリカ独立戦争におけるボストン近辺の米国義勇軍の兵隊さんの姿を描いたもので、しかも兵隊さんがセンターとなってスナップを出そうとしているデザインです。ボストンを本拠地とするペイトリオッツ(義勇軍)の心意気が感じられますし、QBやWRではなくセンターという日陰のポジションをチームロゴに採用した、傑作デザインと感じています。この二代目デザインをよく見ると、兵隊さんが被っている帽子の形を初代デザインに起用しようとして失敗したことがわかります。

現在のペイトリオッツ・ロゴ(三代目)になって既に30年程経過しており、若手卒業生の中には二代目を「こんなの初めて見た。漫画チックだし、躍動感の無いロゴで、カッコ悪いと思いますよ」という感想をお持ちの方も多いのでしょうね。実際のところ現在の三代目ロゴになってからペイトリオッツは格段に強くなりました。やっぱり「勝てば官軍」ですね。

グリーンベイ・パッカーズ 1958年以前のヘルメット

1958年のグリーンベイ・パッカーズの試合の写真ですが、これを見て、「なんだか変だぞ」と気づいた方が多いと思います。ヘルメットに「G」のマークがありませんよね。実はビンス・ロンバルディがコーチに就任する1959年以前は、パッカーズはロゴ無しヘルメットで試合をしていました。ロンバルディが就任して、「ヘルメットにシャープな印象と力強さを与えたい」というコーチの希望により、現在のGマークが与えられたのです。ロンバルディって、すごい人だとつくづく思います。Cのマークを付けるシカゴ・ベアーズへの、むき出しの対抗意識の表れでもあります。

実はロンバルディは二つのチームのロゴを変更させています。パッカーズ・コーチとして黄金時代を築いた後、ロンバルディは1968年パッカーズGMに就任しましたがこれが大失敗でした。自分でチーム内の事を全て取り決めたい性格なのに、間接的にしか指揮がとれないGMという役職が、彼にフィットするわけはなかったのです。たった一年でGMを辞任し、1969年ワシントン・レッドスキンズ(現コマンダース)のヘッドコーチに電撃就任しています。

ワシントン・レッドスキンズ (左から)二代目~四代目ヘルメット

ロンバルディ就任前は、レッドスキンズは左側の槍をデザインしたロゴ(二代目)を使っていました。ロンバルディが新たに採用したのが、真ん中のRの文字をいれたもの(三代目)です。ロンバルディはレッドスキンズ・コーチになって、わずか一年でがんを発症し、そのまま他界していますので、Rロゴも短期間しか使われず、右側の四代目ロゴになりました。こちらはすごくカッコ良いと思っていましたが、近年、人種差別反対運動の標的となり、チーム名とともに葬り去られてしまったわけです。

ワースト2位 レッドスキンズ 1964年当時の初代?ヘルメット

実はレッドスキンズは二代目の前にも別のマークがありました。昔、アメリカンインディアン(原住民)は頭頂部から後頭部にかけて鳥の羽根を髪飾りとして垂らしていたようです。この時もそれに倣い、前から見るとマーク無し(エンジ色の無地)、後ろから見ると「頭のてっぺんから、鳥の羽が一枚ぶら下がっている」というデザインにしたのです。なにもそんなところまで正確に真似しなくてもいいじゃないか、と思うのですが・・・私はこのデザインを「カッコ悪いヘルメット」史上第2位に推しています。笑

非難ごうごうで没になった49ers 幻のヘルメット

最後に極め付けの「幻のヘルメット」です。何年のことだったか資料が見当たらないのですが、サンフランシスコ49ersは、ある日突然ヘルメット・ロゴをこのように変更すると発表しました。
その瞬間から「こんなロゴを採用するなら、俺は長年続けた49ersファンを辞める!!」という激怒の声や猛抗議が続出し、球団はロゴ変更の中止を余儀なくされたのです。

今も使用され続けている「SF」ロゴマークは、洗練された、とてもカッコ良いデザインだと思うのですが、何故ロゴを変えようなどと思いついたのでしょうね。球団幹部に「バッカじゃなかろうか!」と言いたいです。(おそらく「ロゴを変えれば、新ロゴをのせたTシャツやグッズがたくさん売れる」というような、あざとい理由だと考えます)

ユニコーンズも「変えない勇気」を持ち、伝統を大切にする、センスあるチームであり続けて欲しいと心から願っています。

 

<新春初笑い迷言 恐妻家特集>

「夫のバドが突然こう言い出したのよ。
『パトリシア、僕はもうバイキングスのコーチを辞めるよ。
君や子供たちと一緒に過ごす時間を増やしたいんだ。』って。
だから私は夫にこう言ってやったの。
『だったら私がバイキングスのコーチをやるわ』って。」

パトリシア・グラント
ミネソタ・バイキングス・コーチ、バド・グラントの妻

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(強敵グリーンベイ・パッカーズとの対戦を翌週に控えて、
記者会見で記者から「あなたはパッカーズを恐れていますか?」と質問されて)
「失礼なことを言わないで欲しい。
私はパッカーズなぞ少しも恐れてはいない。
私が恐れているのは、唯一、
妻のパトリシアだけだっ!!!」

恐妻家として知られるバド・グラント
ミネソタ・バイキングス・コーチ

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「当然のことだが、私は自分の妻よりも
ベースボールの事を、ずっとずっと愛している。
ただし妻に向かっては、
『君のことを、フットボールよりも、ずっとずっと愛しているよ』
と何度も言っているがね。」

同じく恐妻家として知られるトミー・ラソーダ
大リーグ ロサンゼルス・ドジャース監督

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「清水利彦のアメフト名言・迷言集」

https://footballquotes.fc2.net/

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