【清水利彦コラム】トム・ブレイディは何歳まで活躍できるのか 2020.10.01

清水利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com

こんにちは!皆さん。久しぶりに投稿いたします。
日本でのシーズン開幕は10月にずれ込みましたが、米国ではNFL・カレッジともに既にシーズンがスタートしました。

今年の注目点の一つは、「タンパベイ・バッカニアーズに移籍したトム・ブレイディが、今後も勝利を積み重ねることができるのか?」ではないかと思います。

QBトム・ブレイディは1977年8月3日生まれの43歳。1999年(平成11年卒)?2000年卒(平成12年卒)の方々と同期生になるはずです。平成12年卒以降のOB/OGがトム・ブレイディと話をする時は敬語を使うようにしましょう。

トム・ブレイディの成し遂げた偉業は、今更説明するまでもないでしょう。

NFLの歴代QBのあらゆる記録を塗り替えてきました。最も価値ある記録は、「スーパーボウル6回制覇(うち4回はMVP)」であると言う方が多いのですが、私は「先発QBとして試合を勝利に導いた回数219回(レギュラーシーズンのみ。プレイオフは含まず)」であると思っています。(9月17日時点でこの原稿を書いています)

何故この記録がすごいかというと、200勝以上したのはトム・ブレイディだけで、しかも、100勝を挙げたQBが、NFLの歴史でたった17名しかいないのです。野球でいえばひとりだけ通算500勝を挙げた投手のようなものです。(しかもこのほかに、スーパーボウルを含むプレイオフでの勝利が30回あります)

下記資料をご覧ください。100勝以上したQB17名のリストです。伝説の名QBがずらりと並んでいますが、その中でトム・ブレイディの記録が抜きん出ています。あれほど勝ち続けた印象のあるジョー・モンタナでも117勝と、ブレイディの半分強しかありません。

このリストに、「何歳まで現役を続けたか」という資料を加えてみました。

ほとんどの名QBは30代後半でキャリアを終えています。例外は44歳まで現役を続けたウォーレン・ムーンですが、42歳の時に4勝したのが最後で、それ以降は1勝もしていません。48歳まで現役を続けたことで有名なジョージ・ブランダも、QBとして勝利したのは41歳が最後で、以降はキッカーでした。つまり昨年、ブレイディが42歳で12勝したのも、とてつもなく価値ある記録だったわけです。

今年の開幕戦でトム・ブレイディは、先発QBとしてフル出場しましたが、23-34で敗れました。パス成功率は悪くありませんが、「TDパス2回、被インターセプト2回」と知って心配しています。何故なら、ブレイディはペイトリオッツの通算で、「286試合、TDパス541回、インターセプト179回」と、1試合当たり0.6回しかインターセプトされない、非常に手堅い、ボールを大事にするパサーだったのです。

正直言って、ペイトリオッツ時代は「彼一人が、勝ち過ぎる」という印象があり、いつも相手方を応援していたのですが、今年は心底ブレイディを応援するつもりです。

43歳になっても勝ち続ける、という前人未到の記録に挑戦しているトム・ブレイディを、どうか皆さんもご注目ください。

追記:原稿を書いたのは開幕戦終了時点でしたが、その後2試合し、バッカニアーズは連勝しました!ブレイディは全てスタメンフル出場。特に第三戦はパス38回、成功25回、297ヤード、3TD、0INTという素晴らしい出来でしたね。いよいよエンジン全開です。43歳で、NFL史上永遠に残るであろう奇跡のシーズンを送れるか、どうかご注目ください!