4年マネージャー 黒木 杏奈
平素より、大学Unicornsに多大なるご支援、ご声援をいただき、誠にありがとうございます。
本企画は、嵐が丘グラウンドでフットボールに打ち込んだ日々を過ごされたOB・OGの皆様と、現役部員の双方向のコミュニケーションの機会として、毎回テーマを設定したうえでOB・OGをお招きした中での対談の様子をお届けするものです。月1回のペースでお届けする予定でおりますので、ぜひご期待ください。
第2回目の今回のテーマは、「春の早慶戦で勝利した主将に聞く!」です。早慶戦まで残り1週間と迫ったこの時期ならではの内容となっております。
今回対談にご参加いただきましたのは、赤峰啓之さん(H10年卒主将・LB#56)、鈴木聡さん(H12年卒主将・DL#50)、藤井尊徳さん(H18年卒主将・DL#9)、三津谷郁磨さん(H27年卒主将・DB#9)の4名の皆さまです。ご都合が叶わず、三津谷さんは後半からご参加頂きました。
ご出席頂いた皆さまの現役当時のお写真
赤峰啓之さん(H10年卒主将・LB#56)
鈴木聡さん(H12年卒主将・DL#50)
藤井尊徳さん(H18年卒主将・DL#9)
三津谷郁磨さん(H27年卒主将・DB#9)
学生側の出席者である今年度オフェンスリーダーの大河原陸(4年RB/P#7)、ディフェンスリーダーの原礼於奈(4年DB#21)、キッキングリーダーの千葉優介(4年DB/K#23)とともに、OBの皆さまからは現役当時のお話の数々や、現役部員への激励のお言葉・アドバイスを頂きました。
アツい対談をぜひご一読ください。
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早慶戦に向けたチーム状況
大河原:今年はコロナの影響があって、対面で練習をするタイミングが遅くなってしまったのですが、2月上旬からzoomを使ってオンラインでプレーのインストールを行ってきました。
例年プレーをまとめた紙媒体の「プレーブック」が存在していなかったのですが、去年から選手主体で作るようにしていて、今年はさらにそれをAC(アシスタントコーチ)とパワーアップさせて作成しています。
ただ、今現在(4月第1週)インストールの進行が遅れてしまっているので、なんとか早慶戦に間に合わせるよう頑張っているところです。
原:ディフェンスもオフェンスと同様に、インストールはオンラインで行いながら、春どう戦うかを全体で共有しながら進めています。とにかく春は強豪チームと多く当たるため、本気で勝ちに行くことを全員が意識しています。
早稲田の試合のビデオを参考にスカウティング行いながら、どうやったら早稲田に勝てるのかを考えています。ACが少ないこともあって、選手主体でスカウティングを進めている状況です。
千葉:今年度は「全員が活躍するKICKING」を目標に掲げてやっています。去年からオフェンスと同様に、プレーブックを作っており、インストールは終わっている状況です。
早稲田アジャストを6つのキック全てで作成し、コーチとすり合わせながら練習しています。KICKING自体の練習時間があまり割けていないので、頭を悩ませているところではあるのですが、KICKINGで早稲田に勝てるよう、模索しています。
絶対に負けられない「早稲田」を相手にして4月を乗り切ってきたのか。
鈴木:我々の時は、シーズンイン前から問題を抱えていた時代でした。さらに社会人コーチの変革もあって、学生主導のUnicornsの体制が一変した年でしたね。やはり、社会人と学生がバチバチしている時も多かったなと思います。
戦力としても前後の代の中でも少し弱めだったため、早慶戦だからというよりは、一つひとつの試合を大切に、「一戦必勝」でやっていこうという代でした。僕らの代は、早慶戦が5、6月で他のチームとの試合を先にやっている状況でした。早稲田だからというより春にやってきたことを形にしよう、という思いで頑張っていましたね。
春のこの時期でチームとしての体制が整っていない時だからこそ、一人ひとりが結果にこだわるということを重視して、取り組んでいた記憶があります。
赤峰:我々の代は、早稲田が2部落ちしていた状況でした。早稲田が選手の「ビルドアップ」を掲げたものの、逆に体を大きくすぎてスピードが遅くなってしまっていた。強かったけれども2部にいるという感じで、早稲田の慶應に対しての闘志が凄かったです。
千葉さんが言っていたように、チーム全体を鼓舞してみんなで勝つことを考えていましたが、一方でそこにはあまり勝てていない早稲田への恐怖心もありました。
なので、個人的に当時の早稲田のキャプテンのFBがトイメンだったので、「こいつには絶対に負けない」という意識をもってプレーしました。自分の景色から見えるQBも絶対に止めなければと思っていましたね。
リーダーだから「全体を動かそう」という気持ちもありますが、勝った事が少ないっていうことだけで全体で怯えちゃう可能性もあるので、それだったら1対1にこだわって絶対勝つというということを意識していたように思います。
一番アスリートの藤井さんどうですか?
藤井:アスリートではないのですが(笑)。自分の代は、状況的には鈴木さんの代に近かったと思います。私が1〜3年のうちに入れ替え戦を二度経験しており、一つ上の代は非常に期待されていて監督からのプレッシャーを受けていた代でした。2つ下にもいい選手が集まっていて、我々は監督からも「間の代だった」と言われましたね。
そこに対して反骨心を持ってやっていました。早稲田というものを深く意識はしていなくて、一戦必勝。目の前の試合に集中していて、赤峰さんの話にもあった目の前の相手も倒すという意識が強かったです。
相手の顔写真を拡大してダミーに貼り付けて練習することもありました(笑)。非常に古典的で根性論なこともしていましたね (笑) 。
対照的に、コーチはシステマチックにやる人で、当時の沢柳利也ヘッドコーチとカート・ローズコーチが良い融合をしていたと思います。沢柳さんは根性型練習が多くて、試合の前日に5時間練習とかしていたので、根性は座っていた気がします。一方、非常に効率的にやろうというカート・ローズコーチは時間を大切に、タイムコントロールしていました。
話はそれましたが、早慶戦というか、目の前の試合に精一杯頑張っていました。
大河原:顔写真を貼るってすごいですね(笑)。
鈴木:僕らの代も、何かしら板みたいなものに顔写真を貼り付けて、それをヘルメットで叩いてからグラウンドに入っていました(笑)。
赤峰:僕らの代は紳士だったのでやっていませんでした(笑)。うそです。相手の顔写真を貼るようなことはやってなかったけれども、トイメンに対する意識は凄まじかったです。
当時の早慶戦は、日本で唯一、国立競技場で行われるアメフトの試合だったので、かなり特別でした。早稲田と慶應って、学力でも運動でも日本の中では競い合っているイメージのある学校だと思うので、実際に早稲田と戦う試合がこうして大きな規模感で注目されるのは、本当に特別だと思います。
大河原:OBの方々のお話を今伺って、自分たちが優しくなっちゃったのかなって思いました。ピンポイントに「この敵を!このトイメンを!」と意識したことがなくて、チームとしての早稲田に勝つって思っていました。選手全員に持ち帰って話したいと思います!
早慶戦の試合当日チームの雰囲気、かけた言葉、印象に残っている光景など
赤峰:相当昔で、あまり覚えていないんですが、国立競技場のナイターでした。エースQB(H11年卒、井上浩樹さん)が怪我をしており、代わりに鈴木さんと同期で当時2年生のQB(H12年卒、須田次郎さん)が出ていました。相手も本当に強く、一進一退の攻防が続いた試合展開でした。
最後どうしても勝たなきゃいけないという状況で、怪我をしていた井上さんを出場させて逆転のタッチダウンパスで勝ちました。国立の芝生とナイターの照明が印象に残っていたのと、きつかったという記憶以外にあまり覚えていないのですが、勝ってよかったなという気持ちがありましたね。試合前からアドレナリン全開で、雄叫びをあげていました。勝つ最後の何分かしか記憶にないので、それくらい興奮していたのかもしれません。
鈴木:僕らの代は運が悪くて、国立競技場が使えない年でしたね。国立でやることに憧れを持っていたので、非常に残念でした。早稲田は一つ上の代がすごく強くて、秋季リーグ戦を5連覇していた法政をいきなり初戦で倒すレベルでした。一つ上の春の早慶戦ではボロ負けしたのですが、そこからものすごく対策をして、秋にその勢いのある早稲田に勝ったんです。
相手からすれば慶應との敗戦があって上に行けなかったから、相手も絶対に負けないという闘志がありましたね。そうして挑んだ試合では、ファーストシリーズでいきなりタッチダウンを取られてどうなるかわからないスタートでした。
ただ、コーチ陣は落ち着いていて、ビハインドを感じさせないゲーム展開で、気付いた時には逆転して勝ってました。最後追い上げられたこともありましたが、逃げ切って勝って、僕たちの代で唯一のハイライトだったかなと思います。思い出深いです。
チームのスターターは半分以上が下級生という代で、若手だからこそ無駄なプレッシャーがなくて単純に活躍したいという思いの選手が多くて、伸び伸びとみんながやれていたことも勝因の一つだったのかなと今振り返ると感じますね。
藤井:記憶はあまりないのですが、1つ覚えているのは、当時副将がいなかったので、セレモニーに早稲田の3人に対して慶應は自分1人で出るという緊張がすごかったです。他にも色々な準備で忙しく、試合前はほとんど記憶がないですね。
試合は当時2年生だったキッカーの山中大介(H20年卒CB/K)が逆転タッチダウンかと思ったトライフォーポイントで失敗して、その後のKCをオンサイドでとって、最後52ydからのフィールドゴールで逆転したという劇的勝利でした。
下級生の活躍がチームを支えてくれた代で、チーム全体で勝ったという内容でしたね。主将1人でセレモニーにいくことに、「みんなで支えていこう」という気持ちにチームメイトがなってくれていたのかもしれません。
千葉:藤井さんの試合を見てからこの対談に臨んだのですが、序盤でパントリターンで一発タッチダウンがあったり、最後の52ydのフィールドゴールだったり、KICKINGが活躍して勝利を掴んでいる印象があるので、それを今年も目指したいと思いました。
現役の早慶戦への意気込み
赤峰:ディフェンスリーダーの原さんへの質問なのですが、具体的に早慶戦何本に抑えて、相手がどういうトイメンなのかだったり、意気込みはありますか?
原:ディフェンスとしては、失点を14点以下とどの試合に対しても掲げていて、2ポゼッション差までに抑えることを目指しています。去年はこの目標は達成できたけれども相手はBIG8だったので、TOP8に対してそれができるのかを試したいと思っています。
OBの皆様には、14点で抑えることができなければ檄を飛ばしていただきたいですし、抑えることができればまあよくやったと思っていただけると嬉しいなと思います(笑)。
早稲田に対しては、トイメンに対する意識は現状全然足りないと思います。自分も然り、相手が誰かという意識をあまり持てていなかったので、ディフェンス全員に意識させたいと思います。
赤峰:是非トイメン完封を目指してください。試合では原さんをよく見ますね(笑)。14点以内と言わず、完封してくれることをOBは皆期待しているんだけれども、もし仮に1Qで14点取られたら、どうチームを鼓舞していく?
千葉:先輩をみていて、うまくいかない時に頼れるのがリーダーだと思っています。リーダーがテンションを低くしてしまうのではなく、どんな状況でも自分からビッグプレーを狙う意識を持っていたいと思います。自分だけでもチームにいい流れを持っていくと信じて粘り強くやっていきたいです。キッカーとしてフィールドゴールも量産したいですし、KCの飛距離には自信があるので注目してください。
大河原:まず、スタートファースト。先手必勝、オフェンスが後手に回ってはいけないと思っています。4タッチダウン以上を目標に掲げています。Unicornsは代々ディフェンスのチームと言われているので、オフェンスとしては、非常に悔しいです。今年はオフェンスで勝ったと言わせるチームを作りたいと思っています。
早稲田に関しては、DLと LBがなかなか強くて、でかいし速いなと思います。そこに対してディフェンスの弱みに対してランを当てて、QBだけでなくオフェンス全員でコミュニケーションを取りながら、どんどんオーディブルをかけていきたいと思います。オフェンスの繰り出す様々なプレーに注目していただきたいです。
赤峰:大河原さんが絶対的エースなのはわかっているのですが、RB全体ではその意識はある?
大河原:RBは30人弱いて、チーム史上一番多いのではないかと思うほどの大所帯ユニットになっているのですが、その中でも下級生の台頭はすごいと思っています。
昨年の最終戦のMVPは現3年生ですし、下級生の活躍は期待して欲しいと思います。ただ危機感はあるけれども、まだランで勝つ意識薄いと感じています。4本全部ランでタッチダウンをとるという意識を根付かせなければならないと思います。
「慶應らしさ」「早稲田らしさ」とは
*ここから三津谷さんにご参加頂きました。
原:慶應は、泥臭いことができていない、1yd前にという泥臭さにかけるところができないない、という印象があります。
対して早稲田はまずやはり強豪。さらに、細かいミスが少なくて、基本的なことをしっかりやってくるイメージです。その早稲田を圧倒できるように、ディフェンスから泥臭く抑えていきたいと思います。
千葉:慶應は、KICKINGにこだわって各キックでリーダーを立てているのですが、早稲田はそれに対して甘い部分があると思うので、そこを圧倒していきたいと思います。KICKINGが試合の決め手になるよう頑張りたいです。
大河原:慶應はファーストプレーに命をかけていて、そこは早稲田に負けない自信があります。早稲田にそこで絶対に勝ち切りたいと思います。
三津谷:ディフェンス目線になりますが、私の代では慶應はパス主体でしたが、早稲田はランへのこだわりが強かったのと思います。相手も大きな選手が多かったですね。
ただ、プレーヤーの気質は近いものもあるのかなと思います。U19で早稲田の選手とチームづくりについて話した機会があったのですが、細部徹底であったり、体育会生らしい考え方をしている印象がありますね。
藤井:早稲田、慶應は結構似ているのかなと思います。附属校メンバーもいて外のメンバーもいるというチーム体制も同じですし。早稲田はオフェンス、慶應はディフェンスという感じが若干私たちの代もありましたね。
話はそれるかもしれないのですが、早慶戦後の交流会で就活の話が出た時に、早稲田は決まってない、慶應は決まっている状況があったのをすごく覚えています。早稲田は就活を犠牲にしながら泥臭くやっていたのが記憶にあります。そこは力の入れ方が違うんだなと思うことがありました。
鈴木:付属校メンバーが多い点などチームの作り方は近いと思いますし、あまり違いはないのかなと思います。当時のチームカラーとしては慶應がスロースターターで、対して早稲田は最初からエンジン全開というイメージでした。先ほど大河原さんから、ファーストプレーでは負けないという話があったので、そこにはかなり期待していますし、最初から全力でぜひ頑張ってほしいなと思います。
赤峰:現役の皆さんが慶應らしさを作ればいいと思っています。ただ当時は、早稲田はフィジカルフットボールで、慶應は「不気味」と言われていました。慶應の春の戦績は参考にならず、夏合宿を経て全然違うチームになって秋強くなって帰ってくる、とか言われたりしていました。
春はベースプレーしかやっていない中で、夏1ヶ月くらい戦略を練って秋に本領を発揮するのが慶應で「不気味」と言われるのは一種の誇りでした。去年の慶應の試合のスカウティングを早稲田はたくさんしてきていると思うので、それとはまた一段違った今年ならではのカラーで理解度をさらに高めて、プレーしてくれるとOBはお酒が進みます(笑)。
現役に向けて
三津谷:OBから言えることは、やはり応援しているということに尽きます。春の早慶戦も是非頑張ってほしいです。大きな会場でできるということや、セレモニーを大々的に行うことで、普段の試合とは違った空気感を感じることができる試合だと思います。いわゆるボウルゲームに近い試合の構成だとも思います。その先のシーズンやボウルゲームに向けてという長期的な意識を持って頑張って欲しいと思います。是非早慶戦を糧にこの1年を駆け抜けて欲しいです。
赤峰:OBはものすごく応援しています。現役リーダーの3人にオンラインではあったけれどもこうしてお話することができたので、君たちのプレーは特に応援させてもらいたいなと思います。OBは皆見ていますし、応援しています。チーム全体で勝つことに囚われすぎると怯えもあると思うので、自分の目の前の相手に勝つという気持ちで細かく目標を設定するといいと思います。画面越しに楽しいお酒が呑めることを期待しています(笑)!
鈴木:現役の3人の話を聞いていて、自分たちの代に比べて本当にしっかりしているなと思いましたし、モラルもとても高いなと思いました。自信を持って臨んでもらいたいと思います。1つ1つのプレーに対して個人が結果にこだわることが、勝利に結びつくと思います。下級生上級生関係なく、全員が自信をもって取り組んでほしいです。三津谷さんのお話にもあったように、ボウルゲームみたいな形式でもあるので、楽しみながら頑張ってください!私も美味しいお酒を呑めることを期待して楽しみにしています(笑)。
藤井:試合まで2、3週間あるので、個にこだわるは今からでもできると思います。当時も、トイメンが誰でその人の癖の細かい分析までまで選手がやっていました。皆がトイメンに勝てれば試合に必ず勝つことができると思うので、楽しみながら頑張ってください。あと、ディフェンス出身の人間として、原さんにはディフェンスとして是非完封を目標と言ってほしいです!チームを鼓舞する意味でも、そういう意気込みで頑張ることは大事だと思いますし、OBもそれを期待しているので、完封目指して頑張ってください!
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1時間の対談でしたが、まだまだ伺いたいお話があり、非常に濃密な内容でした。
対談終了直後3名のODKリーダー達は、「目の前の相手に対する意識全然足りていなかったな」「もっと闘志全開で頑張ろう」と今後のチーム運営に対して非常に熱く語り合っていました。
OBの皆様からの貴重なお話の中で学生が学び、チームに還元されていくことに本企画の醍醐味を感じました。
次回以降も、是非ご期待ください。
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第69回早慶アメリカンフットボール対校戦
4月29日(木・祝)14時KO
当日JネットTVにて生配信致します。是非ご覧ください。
▼詳細はこちらの記事をご覧ください▼
https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210422-1/