【再生PJ活動報告】第12回:学業WG 2021.11.25

4年マネージャー 黒木 杏奈

平素より、大学Unicornsに多大なるご支援・ご声援をいただき誠にありがとうございます。

私共、慶應義塾体育会アメリカンフットボール部は、2019年10月15日の活動自粛直後から部員全員を対象にして、当部の抜本的な体質改革を目指す「再生プロジェクト」を田中部長主導のもと行って参りました。2020年3月4日の活動自粛解除後から現在も、部の問題解決に取り組み続けております。再発防止に努めるとともに、寺岡前主将の掲げた「応援されるチーム」の実現の為に、アメリカンフットボールの技術面だけではなく、人間としての成長を目指して参りました。

Unicorns Netを通じて、我々の行ってきた「再生プロジェクト」の活動のご報告を行って参ります。

第12回目となる今回「学業WG」です。
文武両道を目指す取り組みを行なっており、寳正雄吾(3年AC)をリーダーとして、1年生3名、2年生2名、3年生5名、4年生3名の計13名で活動しています。

〜「再生プロジェクト」とは〜
活動自粛後に課題抽出を行い、当部の掲げる行動規範に基づいて、大きく13の課題に分類し、解決責任を負うワーキンググループ(WG)を発足させました。全員1つ以上のグループに必ず所属し、課題解決のために議論を重ね、解決のための施策を考え、活動をしております。

  1. 倫理WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210507-1/(2021.05.07配信)
  2. 部則WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210729-2/(2021.07.29配信)
  3. マナーWG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210729-3/(2021.07.29配信)
  4. 学業WG
  5. リクルーティングWG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210624-2/(2021.06.24配信)
  6. 新入生WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210618-3/(2021.06.18配信)
  7. ストレングスWG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/211125-3/(2021.11.25配信)
  8. アメフトテクニックWG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210826-3/(2021.08.26配信)
  9. アメフト理解度WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210812-4/(2021.08.12配信)
  10. 選手スタッフ間WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210408-3/(2021.04.08配信)
  11. 部員間WG
  12. 部員コーチ間WG
    https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/211125-5/(2021.11.25配信)
  13. 部員数WG

▼WG発足の経緯・背景はこちらの記事をご覧ください▼
https://keio-unicorns.com/mita-kai/daigaku/210408-2/

1.発足理由

学業WGの目的は部の基本理念の2項目を達成するために、部員の学業への関心を向上させ、それに伴う競技力の低下を防ぐことです。体育会生として、まず学生の最重要事項である学業への関心を共通して持ち、次に学業とアメリカンフットボールという競技スポーツの両立を成し遂げるべきであると考え、様々な施策を議論するに至リました。「文武両道」というものは、義塾の体育会が設定している理念であり、目指すべきものです。しかし、練習時間と授業時間が重複している当部においては、より高度な取り組みを必要とすると認識しています。一見、不可能にも思えるこの環境で、真に「文武両道」を目指し、実現することで、慶應という組織において、当部員の示す模範的な行動が他の体育会に影響を与えることができ、そのためには、課題で挙がった学業面でのアプローチに加えて、競技性の向上を追求できる仕組みを考える必要があると考えたため発足しました。

2.昨年度の取り組み

(1)Slackの学部グループの作成

学部学科ごとに全学年共通のグループをslack内に作成しました。これは、同学部における学年を跨いだ(特に上級生から下級生への)情報共有の重要性を考慮したものです。かつては、学部の情報を得るために同じ学部の部員(上級生)を探し、質問するというステップが必要でしたが、この制度を導入により、同学部の部員に情報共有や質問をすることが可能になり、お互いが円滑に援助しあえる環境を作り上げられることが可能となりました。

(2)テスト対策

①過去問の共有

各部員が受講していた講義のレジュメや過去問を共有を行いました。これは、定期試験直前における過去問探し等の手間を解消し、各自が効率的にテスト勉強を行うためです。又、部員の多さ=情報の絶対量が多いという特性を活かすシステム作りというかねてからの問題を解消することにもなりました。

②部独自の授業説明リストの作成

学業に興味を持つ上で、講義情報を把握したほうがいいと考え、部員それぞれが受けている授業をまとめ、その情報を一元化する為にリストを作成しました。部員の多さを学業においても善い方向へと活かし、これまで部員各々が履修した講義の情報を1つにまとめ、その情報をもとに、次期の履修選択の際に有効活用してもらい、当部の成績事情の改善、「文武両道」を部員全員に体現してもらう為の解決案の1つとして作成しました。

(3)授業抜けに関するルールの制定

当部は、練習時間が午前中である場合が殆どであるため、部活の前後で授業を受けるということが日常的にどの部員にも起こります。その際に練習を授業で抜けたり、休んだりすることを授業抜けといいます。以前は授業抜けに関するルールが曖昧で、授業抜けの申請に関してのルールが甘く、練習の前日に抜けを集めていました。そのため、練習の人数の把握が遅く、練習メニューの調整が遅れることで練習に支障をきたすこともしばしば散見され、改善するために、ルールを明文化することにしました。そうすることで、部員全員に共通のルールを認識させることが可能になり、勉強と部活のどちらにもメリハリをつけて臨めるようになるだけでなく、練習運営を円滑に行えるようになりました。加えて、今年度は講義の多くがオンライン化したこともあり、それに適応した授業抜けのルールというものも作成しました。

(4)学部リーダーの設定

各学部に学部リーダーを設けました。リーダーは主に2つの役割が与えられ、1つ目は、これまであまり行われてこなかった成績が芳しくない(主に単位取得状況について)部員に対して、注意喚起やアドバイスを行うというものです。学業状況の改善の為に、その者に振り替える機会を与える目的もあります。2つ目は、今年度からの取り組みである慶應高校アメフト部への大学アメフト部主催の学部説明会におけるリーダーとしての役割です。これは、当部の部員構成から見て、慶應高校アメフト部出身者が多く、その者達の意見を踏まえて、高校との関係性の確保や学部に関する知識を共有・活用してもらうことを念頭に置いたものです。

(5)授業抜け等の休み報告制度の導入

授業抜け等の休みの報告を制度化しました。この点は、前述した3とその取り組みの趣旨は同様であり、これまでの制度を見直し、明確にすることで、文武両道をよりメリハリのあるものとして体現する為に作成しました。

(6)キャッチアップ制度の導入

これまでの成果は、主に学業面での改善を図ってきたが、このWGの目的には、学業への集中で足りなくなることが予想されるスポーツ面のキャッチアップもあります。そこで、アメフト部としてのアメフト能力が衰えないように、参加できない練習を補うことを趣旨としてキャッチアップ制度を作成しました。かつては、授業抜けにより練習回数が減少してしまうことを嘆く部員や、これを言い訳に練習にあまり参加しない選手がいました。(活動再開に当たり行動規範に同意した者しかいない現在はこのような後者の心持ちの部員はいないことが前提ではあるが)これを踏まえて、こういった問題を解消すべく、参加できなかった練習の分を後日(主に週末)に補うというキャッチアップ、練習機会を設けるシステムを作成し、具体的には、ウエイトトレーニングとグランドで行うトレーニングで分けたものとなっています。

3.今年度の取り組み

(1)全部員の授業抜け一覧表の作成

昨年、練習日の前日に欠席連絡をする制度であったため、テストにより変則的な授業抜けになる場合に対応できず、また、コーチとの連携も取れていなかったため練習開始後にQBが授業抜けにて不在となり練習が円滑に運営できませんでした。そうした問題を解決すべく、全部員の授業抜け一覧表の作成とともにそれに関するコーチとの連携を具体的に取り決めました。Excelファイルにて全部員の練習参加可能時間を打ち込んでもらい、授業抜け一覧表を作成するとともに、選手の事前に判明している欠席に関して新たに事前連絡スレッドを作り前週までに投稿してもらう制度を設けました。最終的に、週ごとに事前・欠席連絡を反映したものを日曜日までにコーチに送るといったものです。この制度により早急に部員の出欠が把握できるようになり以上の課題は解決され、練習運営の円滑化が達成されました。

(2)成績調査とアプローチ

例年、一定数の留年者や成績が芳しくないものが出てしまう中、そうした者へのサポート制度により改善につながると考え、全部員の成績調査とそれに基づく支援制度を新たに設けました。学期末成績発表後にGoogleアンケートにて全部員の成績調査を①GPA②必修単位取得状況③語学単位取得状況の3項目を中心に集め、それをもとに著しく状況が悪く原級の危険がある者・自ら支援を希望する者に学部リーダーとの面談を実施する制度です。また、この制度は当WGの施策のモニタリング機能も兼ねており、部員の成績状況の推移といった形で当WGの取り組みの成果を可視化しています。今期(2021前期時点)では支援実施件数は0件となっており、環境は改善されています。

(3)授業情報の共有

部員が学業とアメリカンフットボールという競技スポーツの両立を成し遂げる上で、履修申告の際にサポートとなる情報が欠如しており、そうした制度が必要でありました。故に、成績形態や授業形態の情報を全部員より集め、一覧化したものを作成しました。これにより、部員はより学業とアメリカンフットボールという競技スポーツの両立を成し遂げることが可能となっています。

(4)過去問共有ファイルの作成

部員が学業とアメリカンフットボールという競技スポーツの両立を成し遂げるための支援環境として、部員のみが閲覧できる部内での過去問共有ファイルの作成は昨年より取り組まれてきましたが、昨年はDropboxにて作成し、容量の問題で頓挫してしまいました。それを踏まえ、今年度では学部ごとにGoogle Driveを作成し、そこに各自アップロードしてもらう制度に変更しました。今年度では、一定数の過去問が集まり、また、昨年の容量の問題も解消されています。

(5)学部ごとの説明会開催

リクルーティングWG協賛のもと内部進学ではない外部高校生を対象に、前期開始前と春休み期間の二回に渡り、学部ごとに進級の仕組みや大学生の1日の過ごし方などの説明会を開催し、学部のみならず学業とアメリカンフットボールという競技スポーツの両立への理解を深めてもらいました。説明会後のアンケートでは参加者全員から有意義であったという旨の肯定的な意見を得られ、またリクルーティングの面でも一定の成果が得られた学業のみならず大きな成果が得られた施策です。

4.WG所属メンバーの思い

WGリーダー 寳正雄吾(3年・AC)

我々はfootballerである以前に学生であり、決して学業を疎かにすることはできません。また、学業と競技スポーツの両立が果たせて初めて慶應義塾を代表する体育会生として名乗ることができると認識しております。そんな中で、当WGは核となる役割を担っており、上記のような施策により部員の学習環境が改善され、両立に向けて日々取り組んでまいります。

加藤悠太郎(3年・RB#44)

学業WGでは、真の意味での文武両立を目標に掲げて活動しています。現在Unicornsでは各部員が自律的に判断し学業と部活どちらも主体的に取り組める環境が整いつつあり、私が入部した3年前とは学業面の環境は大きく変化しました。今年度の学業WGでは、昨年度の内容を踏襲しつつも、部員間での授業リソースの共有や慶應学外への学部説明会の実施を行うなど、取り組みの幅が広がっています。今後も下級生が安心して勉学と部活に励むことのできる環境を維持して参ります!

南絵里子(3年・MGR)

当WGは、Unicornsの大きな課題といえる学業と部活の両立を目標として活動しています。体育会生に学業は必要ないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、下級生のうちに必要な単位を取り切ること、そして何より部活も勉強も真剣に取り組みたいと考える部員の思いを尊重することには大きな意義があると考えています。個人の意識が大きく関わる問題でもあるためWGとして苦労もありますが、施策を通して部員の意識に変化があらわれた時にはやりがいを感じます。今後も、Unicornsの部員が部活と学業両方に真摯に取り組めるよう尽力していきたいです。