【結果】第73回早慶アメリカンフットボール対校戦

今年も勝てず・・早稲田に完敗

試合結果

2025年4月29日(火・祝) 慶應義塾大学 対 早稲田大学
13:00 Kick Off @駒沢陸上競技場
天候 晴

1Q 2Q 3Q 4Q
慶應義塾 7 3 3 2 15
早稲田 14 14 0 7 35

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ゲームレポート

山田健太(H7年卒)

最高の天気、そして大観衆に見守られた伝統の早慶戦は、残念ながら力負けの完敗。
先の関大戦に続き、強豪校との試合で完敗が続いたが、完膚なきまでの関大戦に比べれば良いところも出てきたとは感じた。

ゲームレポートと共に、現在のUnicornsを伝えたい。

前半は100%早稲田に支配されたと言っても過言ではない試合展開。
今シーズン活躍が期待されるLB#97国井(3年・慶應義塾)のインターセプト、早稲田のパントミスや反則などで得点のチャンスは作れたものの、オフェンスは微塵もランプレーが出ず、FGの失敗などもあり一方的な展開に。0対14とあっという間に点差が開き、歴史的な大敗も・・・と覚悟したところで、大黒柱のWR#1久保(4年・慶應義塾)がキックオフリターンを一気に駆け抜けTD。本当に彼のリターン能力は高く、歴代のリターンTDの記録を間違いなく更新していると思う。

キックオフリターンTDでチームを牽引する大黒柱のWR#1久保(4年・慶應義塾)

内容的にはかなり一方的ではあったが、久保のリターンTDとFGを1つ返せたことで、前半は10対28で終了。感覚的には、もっと離されてもおかしくない内容であったが、点差的には後半に逆転のチャンスはあり。

厳しい内容の前半だったゆえ、点差以上に絶望感のある後半のスタートだったが、生まれ変わったかのようにUnicornsがゲームを支配する。

オフェンスは、中央のランプレーが全く出ず、サードダウンロングを作りパスが通らないという悪循環であったが、プレーアクション、ブーツレッグ、スプリントアウトパスを織り交ぜ、プレースタイルを変更。これに伴い、ランプレーも出るようになりゲームを支配。もともと、脚力最強のQB#8山岡(4年・佼成学園)も得意のスクランブルを使いだし、これが今シーズンのUnicornsオフェンスの目指すスタイルなのだなと感じさせるドライブが続いた。

ディフェンスも、特徴である「攻め」のスタイルを取り戻し、ロスタックルを量産。
DB#17山下(2年・慶應義塾)のインターセプト、売出し中のLB#47松岡(2年・鎌倉学園)のナイスタックルなど下級生も活躍。圧巻はフロントの中核を担うDL#57天野(3年・鎌倉学園)。好パントから得た敵陣1yからのディフェンスでは、大観衆の誰もが期待したセーフティを1プレー目で見事に決めてくれた。

インターセプトの活躍を見せたDB#17山下(2年・慶應義塾)

このように攻守蹴に渡り、完全にゲームを支配したUnicornsではあったが、致命的に足りなかった部分が「決定力」

幾度となく早稲田陣に攻め込むものの、結局FG1本にとどまり、前後半を通じてオフェンスでのTDはゼロ。レッドゾーンの厳しさ、難しさを実感させられたと思う。

結果を見れば大敗であったが、関大戦からの流れで見れば良いところも出てきたことは事実。

プレーが増えてきたのか、テーマがあり封印していたのかなど、その辺りは不明ではあるが、後半戦のような、ロールやブーツ、プレーアクションを使い、山岡の持ち味を活かすオフェンスが見えてきたこと。ディフェンスもしかりだが、アグレッシブなプレーがしっかりと増えてきていること。

この辺りは成長を感じることが出来た。

FGは、決めるべき距離を1回外してはいるものの、経験のないなか、LB/K#45北村(2年・宇都宮短大附属)が頑張っていた。彼のキックは「初速があるな」と感じたので、飛距離も出せそう。この大舞台で経験を積めたことは大きいと思う。

パンターも、DBでも活躍のDB/P#32加藤(2年・本郷)がラグビー経験を活かした飛距離あるパントを魅せてくれているのだが、昨年から出場しているDB/P#39泉山(3年・慶應義塾)も、敵陣1yを演出するコントロールパントで観客を大いに沸かせてくれた。

ちなみに、この1yを演出したもう1人の立役者はWRで絶賛活躍中のWR#3田村(4年・慶應義塾)。タッチバックになると思った瞬間、驚異的なスピードで走り込み、ボールをはたき1y地点を確保。エースレシーバーでありながら、パントチームにおいても全力プレー。キッキング重視が伝わるし、こういう4年生の姿勢はチームを成長させると思う。

WRで絶賛活躍中のWR#3田村(4年・慶應義塾)

ディフェンスは怪我が多く主軸欠場が目立つが、下級生の積極的な起用で、苦しいなと思う反面、国井、加藤、山下、松岡のような成長を期待させる選手たちが出てきていることは大収穫だと思う。反面、オフェンスは、QB山岡、WR久保、田村、RB山内と活躍している選手が4年生に限られている。

WR#18鈴木(3年・公文国際学園)は、何度か見せ場を作ってくれたが、チャンスを貰っている選手はまだまだ沢山いるし、持っているポテンシャルが高いことも知っているので「秋は任せておけ」と思わせる下級生の輝きを魅せてくれればと感じた。

関西3位、関東2位と続いた春シーズン。
次は、僅か中3日で迎える関東1位の法政戦。身体は休めることしか出来ないと思うが、この2戦で得た経験と成長をしっかりと王者にぶつけてきて欲しい。