【清水利彦コラム】順送りの精神 2021.06.04

清水 利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com

私の過去のコラムを、三田会ホームページ上に保存してくださるという有難いご意思をいただきました。心から感謝いたしております。
今回は、12年前に掲載した短い文章を紹介いたします。

—————————————
『慶應義塾体育会に伝わる、順送りの精神とは』

皆さんは、『順送りの精神』という言葉をお聞きになったことがありますか?
年長OBの中では、知っている方がたくさんいるようですが、私がここ数年、現役部員数名に尋ねてみると、皆さん「聞いたことがありません」という返事でした。
死語になりかけているのではないか、という懸念があり、この場を借りて紹介させていただきます。

事務局が「順送りの精神」という言葉を初めて聞いたのは自分の現役時代、2年生になって主務を拝命し、体育会本部に通うようになったときです。どなたから聞いたかは、うろ覚えではありますが、故・川島体育会主事ではなかったかと思います。

このようなお話しでした。
「慶應義塾体育会には、伝統的に『順送りの精神』というものがあることを知っておいてほしい。慶應義塾体育会に入ると、多かれ少なかれ、先輩のお世話になり、あれこれと面倒を見ていただくことになる。一人の先輩からも、一度も世話になっていない人間などありえない。メシを食わせてもらったり、競技の指導を受けるばかりではなく、就職の世話をしてもらったり、人生の節目で貴重なアドバイスをもらうなど、卒業しても世話になり続ける。いや、むしろ卒業してからの方が、現役時代よりもお世話になる機会は多いのではないか。
これらの『先輩からの恩』に対して、我々は感謝しなければならないが、この御恩を、恩をいただいた先輩に対して返す必要はない。先輩からしてもらったことに感謝しているならば、同じ事を自分の後輩にしてやればよいのだ。
後輩のためによいことをしてやる、ということを毎年毎年、慶應義塾体育会の人間が受け継いで繰り返してゆく。これが『順送りの精神』だ。
出来れば、自分が先輩からいただいた御恩よりも、ちょっぴりでいいから大きな恩を後輩に与えてやるべきだ。そうすれば、慶應義塾体育会は更に発展するし、将来、より良い組織になっていくはずだ。」

1974年に聞いた話を、今でもボンヤリと覚えているのですから、当時それなりに感銘を受けたのだと思います。

「先輩からしてもらった以上のことを、後輩に返す」
極めて簡単なルールではありますが、慶應義塾体育会の神髄とも言える考え方だと思い、是非皆さんに知っておいていただきたく思っています。
順送りの精神という言葉も、時代と共に変化して受け継がれているかもしれません。皆さんがお聞きになった「順送りの精神」が、どのようなものか投稿してくだされば幸いです。
順送りの精神に関するご意見・ご感想もお待ちしております。

 

「清水利彦のアメフト名言・迷言集」
https://footballquotes.fc2.net/
<今週の名言・迷言、毎週更新中>