三田会コラムToru Matsuda
審判を楽しむ50歳の新人審判コラム 2023.4.7
アメリカンフットボール三田会
広報部会 山田 健太(H7年卒)
最初に
「審判募集」や、「審判がいないと2部に降格」みたいな話は聞いたことあるのかなと思います。一定数の審判を義塾から輩出しないとペナルティで降格処分になることは事実でして、現在は充足しています。しかしながら年齢制限がありますので、常に審判を募集し続けませんと、このリスクと向き合うことになります。
制度として「卒業したら審判に登録する」など強引な解決策などもあろうかと思いますが、審判の魅力を伝えることで積極的に取り組んで貰える仕組みこそが大事じゃないかなと思い、2年ほど審判登録をしましたので、新鮮な目線で審判ライフをお伝えしてみたいと思います。
動機
状況を良く知っている方々からは「降格の危機を救ってくれてありがとう!!」など過分なお言葉を頂いたりしていますが、それほど「犠牲の精神」で審判になった訳ではありません。笑
純粋にフットボールが好きで、生涯フットボールに関われるという魅力に惹かれたことの方が大きな要因です。
審判になる直前まで、助監督を9年ほどしていましたが、いずれ現場でのサポートは終わりが来ますし、それが自然です。
また、三田会の現会長の薮内さん、副会長の大野さんが審判ということで、皆さまより審判の方々が身近にいらっしゃり、高い志だけでなく、楽しそうに生涯の取り組みとしてやられているのを感じることができたことが大きいように思います。
高校の関学定期戦での集合写真 母校の審判は行いませんが、高校の関学定期戦はOB審判でサポートしています。 母校の試合の審判は審判冥利に尽きます!!
思いのほか大変ではない
ノルマとして、月3回の審判活動があります。
助監督をしているときは、毎週末を嵐が丘で過ごしていましたので、それに比べれば大した拘束ではありません。しかも、基本的に試合があるのは、4月〜6月、9月〜11月の6ヶ月。12月、1月に試合はありますが、試合数は少なくアサインされる可能性は低くなります。一年の半分は審判ありませんので、年がら年中、審判活動に縛られるということはありません。(この他、年に2回、出席必須の講習があります)
また、ほぼ人工芝で試合が行われます。
ごく稀に土のグランドもまだあるようですが、私はこの2年間で、まだ土のグランドをアサインされたことはありません。毎週毎週、土埃で真っ黒になるや、豪雨の中、どろんこになって審判をするという可能性はゼロではないのかもしれませんが相当低い可能性でして、大半は気持ち良い空の下で、心地よく審判をしています。
あと、気になる部分では「審判をする技量があるのか」「審判としての学び」あたりでしょうか?
ルールをすべて理解していないと審判として成り立たないかと言えば、そんなことはございません。熟知していればいるほど良いことは間違いないですし、主審を務めるとなりますと、相当な知識量が求められます。
ただ、現実的に、審判をやる上で求められるのは、語弊があるのかもしれませんが「反則であるかどうかの判断」です。反則がどのような罰則となるかまで分からなくても、それは主審がやってくれます。仕事が細分化されていますので、新人であってもベテランであっても、観るべきポイントは絞られていて、そこで反則が発生しているかをしっかり見ていれば、基本的には大丈夫です。反則があれば、イエローフラッグを飛ばし、どういう反則があったかを主審に伝えればあとの処理はしてくれます。審判をやりながら、ルールを熟知していくという流れで大丈夫です。
また、オンラインの研修なども充実していまして、ビデオを観ながらジャッジを学べます。ルールブックを読み込むのはなかなか大変ですし、睡魔との戦いなのですが、ビデオで学べるのは効率的で学びやすいです。
少しの問題点
もちろん、大変なことがゼロではないです。審判活動の出来る日を提出し、それを元に試合がアサインされるのですが、この決定が意外とギリギリです。ゴルフが趣味ですので、ゴルフの調整に苦労しています。笑
また、審判がアサインされた日は、ほぼ何も出来ません。(ただ私は、これに関してはそれほど苦痛ではありませんが)
プロの審判ではありませんが、プロ意識をしっかり持ち、みなさま取り組まれています。試合前に1時間弱ほど、昨今の問題点の把握、ルール変更の確認、対戦校から提出された情報などしっかりとブリーフィングを行います。試合後も30分程度ですが、反省のミーティングを行います。試合時間が2時間半としても、前後のミーティング時間、これに加えて、遅刻できませんので余裕をみた移動時間を考えますと、ざっくり6〜7時間は最低拘束時間という感じです。
雨、灼熱、冷たい風、試合会場が遠い・・・
とても嫌という程のことではありませんが、少しの苦労は発生します。
ちなみに、アマチュアとして審判を行っていますが(プロ意識はしっかり持ちつつ)、少しのお手当は出ます。私は新人枠なので、1試合3,000円。(3年目からは1試合5,000円に増額されます)
交通費と弁当代で基本的にはなくなりますが、最低限の手当は保証されています。
とある公式戦で、後輩であり、審判としては大先輩の保田と同じ試合にアサインされた記念写真。 同じ試合を担当する事もあり、新人の私としては心強く感じる試合でした。
最後に
審判になり楽しんでいる部分は、
「審判の方々のプロ意識の高さ」
「最新のフットボールへの理解」
あたりでしょうか。
現役時代、審判の方へ暴言を吐くような選手ではなかったと確信はしていますが、かといってリスペクトをしていた訳でもなかったように思います。審判になり分かりましたが、勉強熱心で、真摯に審判、そしてフットボールに向き合い、高い次元を目指している方々の集団です。手遅れですが、審判になり審判の方々を尊敬しています。
単に反則を見極めるだけではなく、プレイヤーが試合に集中できるようゲームを仕切るのも審判の大事な責務でして、審判の優劣で、その試合の質が変わってくることを理解し徹底されている方々の集団です。(審判になり分かりましたが、反則をジャッジする「裁判官」的な仕事は一部でして、試合を仕切る「指揮者」としての仕事の方が比重としては大きいです。)
これに触れることが出来たことが第一の喜びです。
また、フットボールはルール変更を頻繁に行いゲーム性や安全性を高める「進化をやめないスポーツ」です。そして、その方向性はすべて「ルール」に反映されます。新しいルールは、未来のフットボールを定義づけする羅針盤です。
これに触れ続け、学び続けることは、フットボール・クレイジーとしては、実に刺激的です。
私は、はっきりと未熟な審判ですし、審判としてTOPに上り詰めようという野心もありませんが、Unicornsを背負っている審判としての矜持は持ち続けたいですし、審判活動を通じ、フットボールに恩返しをしたいと思って審判活動をもう少し続けたいと思っています。
動機は様々で良いと思っていますし、このコラムで良い悪いを全てを伝えられたとは思っていません。少し審判活動に興味が湧きましたら、遠慮なくご連絡を頂ければと思います。
一緒に「審判ライフ」を行う方、絶賛募集中です!!
高校関学戦では、息子が出場しており、息子の試合の審判を担当するという奇跡的な僥倖に恵まれました!! 生涯の記念になる審判の1つになるでしょう。 久しぶりに関学定期戦も勝利! 実は、かなりレアだと思いますが、私も高校時代に関学戦に勝利! 親子で定期戦に勝利です。