山澤 真樹(S58年卒)
2024年3月9日(土)16時より、早稲田大学東伏見キャンパスにて開催された題記の会合に参加して参りました。
本会の趣旨を前田監督に伺ったところ、新シーズンに入って慶應の主将より早稲田の主将に「今年はぜひ早慶戦を実現しよう」との意向を伝えた際に「ここ数年実施できていない早慶戦の意義を両校で話し合う機会を作ろう」との返事があり、双方合意のもと実施に至ったとの事でした。
ご存じの通り、コロナ禍及び慶應側の不祥事により早慶戦は4年間行われていません。即ち昨年度の4年生は現役時代に一度も春の早慶定期戦を体験せずに卒業した事になります。これはやはり異常事態だと思います。
もちろん体育会の全ての部が早慶戦を行なっているわけではないですが、1953年の第1回大会以来70回近く行われてきた両校のアメリカンフットボール部の歴史からすると、非常に残念な事でした。
その意味で、早稲田主将からの提案は極めて意義のあるものであったと言えるでしょう。私学の雄として常に比較される早慶が、共に相手に対する競争心と尊敬を再確認し、新たなアメリカンフットボール早慶戦の歴史を作っていこうという試みは、まさに今の時期に必要なものであろうと思います。因みに今年の早慶戦のスローガンは、両校で話し合ってひとつのものを作り上げる事となりました。
少々戦績について振り返ってみますと、2019年の第67回大会までの通算勝敗は、慶應39勝27敗1分。高校定期戦(塾高vs早大学院)は慶應32勝27敗1分。アメリカンフットボールについては大学・高校共に慶應が勝ち越していますが、慶應義塾体育会全部門の通算早慶戦実績での勝ち越し部門数は、慶應13・早稲田49(引き分け1部門)と早稲田が慶應を圧倒しています。この推移からするとUnicornsは健闘していると言えるでしょう。
さて前置きが長くなりましたが、会合の内容についてご報告します。両校指導陣・OB・全部員が集合した講堂教室にて、まずは今回の会合の趣旨及びゴールの確認、進行手順の説明があったあと、両校OBとMC役の両主将が登壇しての講演会が実施されました。私はこの講演会の慶應側代表OBとして出席致しました。早稲田側OBは、私より4歳年長で1978年主将であった矢吹欣一郎さんでした。
あらかじめ用意された質問は「早慶戦への思い入れ」「早慶戦への取り組み方」といったものでしたが、学生からのフリー質問は「当時どんな練習をしていたか?」「現役時、相手に対してどう思っていたか?」「卒業後は双方のOBとどんな付き合いをしているか?」等がありました。
矢吹さんも私も卒業後40年以上経っている老練OBですが、そんな時代のアメリカンフットボール部の実態に学生が興味深々であったのは意外でした。私も“不適切にもほどがある”カミングアウトをしてしまいましたが、和気藹々とした楽しいセッションであったと思います。
この講演会パートのあとは、両校部員によるワーキンググループセッションとなりましたので、OBはお先に失礼しました。
何はともあれ早慶の学生が自発的にこのような会合を設けた事は、今後に向けても非常に意義深いものであったと思います。この会合の成果はきっと早慶戦に現われることでしょう。
開催を待ちわびたOB・OG・ファンが多数詰めかけた駒沢で、相互尊敬の気持ちをベースとした5年ぶりの熱い戦いが繰り広げられる事を祈念しております。