清水利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com
いよいよ2月8日(月)朝はスーパーボウル中継ですね。今まで毎年、出勤日の朝なので、録画して観戦するしか方法がありませんでしたが、今年は初めてナマ中継での観戦となります。
朝っぱらから、酒とツマミも用意しましょう。年金生活バンザイ!
さて、今年のみどころをまとめてみました。
トム・ブレイディは7回目のスーパーボウル勝利を飾れるか?
9月中旬のコラムで、「トム・ブレイディは何歳まで活躍できるのか?」というタイトルの文章を書きましたが、その時、まさか彼が今季のスーパーボウルまで勝ち進むとは思っていませんでした。
現在43歳のブレイディは、下記の最年長記録を持っています。
- 39歳でスーパーボウルMVP獲得
- 40歳で年間最優秀選手賞(NFL MVP)受賞
- 41歳でQBとしてスーパーボウル先発出場
この中で③は記録更新がほぼ確定。①と②もおおいにチャンスありですね。
NFLの最年長試合出場記録は48歳と3か月のジョージ・ブランダで、他にもアダム・ビナティエリの46歳などありますが、彼らは皆プレースキッカーとしての出場です。常に怪我と直面しているQBにおける、最年長記録の更新は価値が桁違いです。
「10回目のスーパーボウル先発出場QB」という記録もほぼ確定ですが、もう今後永遠に破られない記録続出のスーパーボウルとなるかもしれません。バッカニアーズが勝ったら、私は泣いてしまうかも・・・
ヘッドコーチは、高齢者対決!
バッカニアーズのブルース・アリアンス・コーチは、1952年10月生まれの68歳。年金生活の筆者より2年年上ですが、比較するのが情けないほど、高齢で頑張っています。
ユニコーンズではS50年卒小口主将、柴田副将の代と同期生にあたります。昭和51年卒以降の皆さんがアリアンス・コーチと話をする時は敬語を使うようにしましょう。
アリアンスは、オフェンス・アシスタント・コーチ経験が長く、初めてヘッドコーチになったのは60歳という遅咲きのコーチです。しかも、その時アリアンスは、自ら望んでヘッドコーチになったわけではありませんでした。インディアナポリス・コルツのオフェンス・コーディネーターだったのですが、ヘッドコーチのチャック・パガーノが白血病にかかってしまったため、シーズン途中で突然アリアンスが代理ヘッドコーチに指名されました。ところがチームはそこから9勝3敗と見事な成績を収め、彼はNFL年間最優秀コーチ賞を受賞します。代理コーチがこの賞をとったのはもちろん史上初めてのことで、代理コーチとして9勝を挙げたのもNFL記録です。
この活躍を評価されて、翌年からアリゾナ・カージナルスのヘッドコーチとなり、負け越しの続いていたチームを強くしました。更にバッカニアーズに移って2年目でチームをスーパーボウルに導いたわけです。何がきっかけで人生が変わるか、わかりませんね。
アリアンス・コーチの体型をTVで見て、当然元ラインマンだと思っていましたが、なんと彼はバージニア工科大学で、ウイッシュボーン隊形のQBでした。QBとしてランのTDを11回しており、これは今でも同大学の記録として残っています。怪我を恐れず、闘志むき出しでタックラーにぶつかっていくQBだったようで、今の彼の性格・コーチ哲学に反映されています。
一方、チーフスのアンディ・リード・コーチは1958年3月生まれの62歳。昭和55年卒、石坂主将の代と同期です。両軍のコーチ合わせて130歳という高齢者対決が今回のスーパーボウルの興味深いところです。
リードはブリガムヤング大出身で、長く複数のチームのオフェンスラインコーチを務め、19年目の1999年にフィラデルフィア・イーグルスのヘッドコーチになりました。14年間で130勝93敗1分という好成績をおさめ、9回プレイオフに出場しましたが、いずれもあと一歩で敗れています。2013年からチーフスのコーチになり、91勝37敗(勝率.711)という驚異の常勝軍団を作り上げました。昨シーズン、ついに自身通算15回目のプレイオフ出場で念願叶い、初めてスーパーボウルチャンピオンとなっています。
お互いに高齢で、海千山千の曲者同士。「あいつにだけは負けたくない」と思っていることでしょう。知恵比べで、どちらが勝つか見ものです。
ブレイディの出場するスーパーボウルは、いつも面白い!
トム・ブレイディにとって10回目のスーパーボウルですが、これまでの9回は手に汗握る接戦の歴史です。
2001年 3点差で勝ち(相手ラムズ)ブレイディMVP
2003年 3点差で勝ち(パンサーズ)ブレイディMVP
2004年 3点差で勝ち(イーグルス)
2007年 3点差で負け(ジャイアンツ)
2011年 4点差で負け(ジャイアンツ)
2014年 4点差で勝ち(シーホークス)ブレイディMVP
2016年 延長戦の末、6点差で勝ち(ファルコンズ)ブレイディMVP
2017年 8点差で負け(イーグルス)
2018年 10点差で勝ち(ラムズ)
過去54回の開催で、2ポゼッション以上の差(17点以上)がついてしまった凡戦が18回あるのですから、ブレイディの演じた接戦ぶりは際立っています。今年も最後の1秒までどちらが勝つかわからないような大接戦が見たいものです。
史上最弱のバッカニアーズは、最強になれるのか?
チーム創設以来の通算戦績で、一番勝率が低いのがタンパベイ・バッカニアーズです。
- バッカニアーズ 278勝429敗1分(.393)
- カージナルス 566勝771敗41分(.424)
- ジャガース 177勝239敗(.425)
- ファルコンズ 369勝473敗(.438)
- ジェッツ 410勝514敗8分(.444)
とバッカニアーズの勝率の低さが際立っています。
・球団創設の年(1976)、0勝14敗
・球団創設から3年間で、7勝37敗
・球団創設から21年間で、勝ち越しわずか2回
・球団創設から今季まで45年間で、勝ち越しわずか13回
それでも2002年に当時弱冠39歳のジョン・グルーデン・コーチが率いて、初のスーパーボウル王者となったことを覚えておられる方も多いと思います。
68歳のアリアンス・コーチと、43歳QBのトム・ブレイディの高齢コンビが、弱小タンパベイを19年ぶり2回目の頂点に導けるかどうかが、最大のみどころでしょうか。
それでは、スーパーボウル・デイをお楽しみに。
「君はいつも、スーパーボウルの日になると、風邪を引いて会社を休むね」などと上司の方に言われないように気を付けてくださいね!
(バッカニアーズが弱かった頃の思い出について)
「タンパの海岸にたたずんで、沈む夕陽を見ていたら
なぜか泣けてくる。
その時にバッカニアーズのことを考えたら、
もっと泣けてくる。」
タンパ在住のスポーツライター
リチャード・ジェニングス