【清水利彦コラム】新春3題 ①ノートルダムの反乱? ②今季の甲子園ボウルに想う ③関大女性応援団長 2026.01.08

清水利彦(S52年卒)
shimizu.toshihiko2@gmail.com

Unicorns Netをお読みいただいている皆様、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
このお正月は「新春3題」と称してコラムを書いてみました。平素は、事実の積み重ねをもとに記事を書き、個人的意見や主張をなるべく控えるように心がけていますが、「正月新春号」と「百号ごとの記念号」では、私の主張を強く述べさせていただいております。何卒ご了承ください。

1. ノートルダム大の反乱?? 全米大学選手権出場決定のドタバタ劇

ご存じのとおり、2024年度から全米大学選手権が12チームによるトーナメント方式に変わりました。
偶然、同じ年から日本でも12チームの大学選手権が始まっています。
全米大学選手権の規模拡大の目的は、表向きは「誰からも文句の出ない形でチャンピオンを決める」ことでしょう。(本音の目的は、選手権を3試合から11試合に増やしての収入・利益拡大だと思いますが)
一昨年までの4校トーナメントでは、大学ランク5位や6位のチームが出場できず、「1位から6位くらいまでがダンゴ状態の時の不公平感」がありました。新制度では12位まで出場できるのだから、文句の出ない王座決定方式になると思っていたのですが、結局、今年も大モメにモメましたので、その経緯をお知らせします。
下記はCFP(College Football Playoff)ランキング。最終16週の12位までが大学選手権に出場できます。

※JMUはジェームス・マディソン大(かつては女子大だった学校で、4年前からNCAA一部サンベルトリーグに加盟した新興チームです)

第15週はレギュラーシーズン最終週であり、第16週は各リーグの優勝決定戦のみがおこなわれます。したがって優勝決定戦に出場できないチームや独立校は、第16週の試合がありません。
独立校ノートルダム大は第15週にランク10位で、第16週は試合がないわけですから、「当然自分たちは選手権に出場できる」と考えて練習を重ねていたわけです。ところが最終発表は13位となり大学選手権に出場できませんでした

「そんなバカな!12位だったマイアミ大は、我々と同様、第16週試合がなかったのに、逆に10位にランクが上がっている!この順位付けは間違っている!」とノートルダム大が怒ったのも理解できます。

この混乱の原因は「CFP委員会が、最後になって、ランキングのリーグ間調整という配慮を行った」ことにあります。「SECリーグは5校までが選手権に出場できるのに、同じ一部校のAmericanやSun Beltリーグで優勝し、好成績を残しても選手権に出場できない」という事態を避けるために、低いランクだったリーグ優勝校、チュレーン大とJMUを最後に大幅格上げし、その結果ノートルダム大がハジキ出されてしまいました。(ノートルダムとマイアミは直接対決があり、マイアミ大が勝っている)
「最後になって極端な順位調整をするのであれば、ランキングの途中経過発表など全く意味がない。これは茶番だ!」と言うノートルダム大の主張は、ある意味、筋が通っています。

ただし、まずかったのはノートルダム大が「大学選手権に出場できないならば、その他のボウルゲームにも出場しない!ボウルゲーム招待を拒否する!」と、まるで反乱のような決定をしたことでした。
ここは「今季は他のボウルゲーム出場に甘んじるが、CFP委員会には今後の制度改善を強く求める」という大人の対応をするべきだった、というのが私の感想です。
可哀そうなのはノートルダム大4年生部員です。大学選手権に向けて張り切って練習していたところ、突然すべて無しになり、即引退・卒業となります。

大学選手権シード下位校ながら、本命オハイオ州立大を倒し、四強に食い込んだマイアミ大

ゴタゴタ劇の中で始まった全米大学選手権ですが、1月3日現在、驚きの結果で進んでいます。

<1回戦結果>丸囲み数字はシード順位
⑤オレゴン大 51-34 ⑫ジェームス・マディソン大
⑥ミシシッピ大 41-10 ⑪チュレーン大
⑩マイアミ大 10-3 ⑦テキサスA&M大
⑨アラバマ大 34-24 ⑧オクラホマ大

<準々決勝結果>
①インディアナ大 38-3 ⑨アラバマ大
⑩マイアミ大 24-14 ②オハイオ州立大
⑥ミシシッピ大 39-34 ③ジョージア大
⑤オレゴン大 23-0 ④テキサス工科大

<準決勝組み合わせ>1月8・9日
⑥ミシシッピ大 vs ⑩マイアミ大
①インディアナ大 vs ⑤オレゴン大

優勝常連校のオハイオ州立大・ジョージア大・アラバマ大が姿を消しました。準決勝に進んだ四強のうち、全米王座獲得経験があるのはマイアミ大だけ(勝てば25年ぶり6回目の王座)で、あとの3校はチャンピオン経験がないという、新鮮な組み合わせになりました。
※ミシシッピ大はAPが認定した王座は経験ありませんが、1960年にマイナーな認定機関が王座としたため「我々は1960年に王座獲得経験あり」と名乗っています。

インディアナ大がアラバマ大に38-3で圧勝したのには驚きました。アラバマ大がこんな惨敗を喫したのは私の記憶にありません。調べてみると、アラバマ大が35点もの大差で負けたのは、1998年アーカンソー大に36点差(6-42)で負けて以来、27年ぶりのことでした。

私のイチ推し、テキサスA&M大は今年も負けてしまいましたが、ハーフタイムショーのマーチングバンド部パフォーマンスを観ていると、「マーチングバンドはテキサスA&M大が全米一位だな」と感じます。敗れたマイアミ大戦(12月20日)での演技(ドリル)をYou Tube画像でご覧ください。しかも試合ごとにドリルの内容を変えているのです。テキサスA&M大マーチングバンド部が、このショーをするためにどれだけの練習を重ねているのか、と考えるだけで涙が出てくるのは私だけでしょうか?

The Fightin’ Texas Aggie Band Halftime Drill College Football Playoff Game Miami

2. 今季の甲子園ボウルに想う

今季の甲子園ボウルは、立命館が38-14で関学を下し、2年連続10回目の学生日本一となりました。TV放送でアナウンサーが幾度も「甲子園ボウル史上初の関西勢同士の戦い」と呼んでいましたが、これはひとえに「関東勢3校が、関西勢に挑んで、準決勝までに全て敗れたため」に他なりません。

2024年開始の大学選手権新制度において、関東vs関西の試合結果は下記の通りです。

[2024年]
○早大 31-28 関大
●慶應 7-20 関学
●早大 27-52 立命
◯法政 20-17 関学(延長戦)
●法政 35-45 立命(甲子園ボウル)

[2025年]
●明治 28-42 関大
●法政 22-42 立命
●早大 31-42 立命

兵庫県西宮市在住の私は、関西学生リーグ戦で関西勢の試合を数多く観てきました。特に関西強豪校(関学・立命・関大)の試合を見るたびに「レベルが違うな、関東のチームは関西3校に勝てないだろうな」と感じることが多々ありました。したがって大学選手権新制度の発足を聞いたとき、「制度そのものは日本アメリカンフットボール界の発展にとって良い方向ではあるが、関東の大学が甲子園ボウルに出場できない日が来るだろう」と直感しました。さっそくその事が現実になったわけです。

今後何年も「関東のチームが、なかなか甲子園ボウルに出場できない」事態が続く可能性も大いにあると考えています。もしそうなると関東におけるアメリカンフットボールの衰退につながる恐れさえあります。関東の高校の優秀選手たちが、こぞって「関西の大学でプレーしたい。そうしなければ日本一にはなれない」と考えるようになっても不思議ではありません。

そうならないために我々は何か出来るのでしょうか?「関西勢に勝てない言い訳」を並べるのではなく、どうやって勝つか具体的に考え抜いて、具現化してゆかねばなりませんね。
私からは「まず関西強豪校に学ぶことから始めよう」という提案をさせていただきます。関西強豪校の大学チームとそのOB会における、「組織体制・運営理念・活動内容・強化方針・指導者育成方法・リクルーティング戦略・財務方針(お金の集め方と使い方)等々」について、今、慶應内部で熟知している方がどれだけ居られるのでしょうか。居ないのであれば、まずは関西強豪校に学び、勝つための戦略を打ち出せる人材を育てるのが先決ではないかと思います。我々より圧倒的に強いチームが、なぜ強いのかを詳しく知らずに、彼らを倒すことは出来ないと考えるのです。

<その他雑感>
大学選手権で、中京大学に注目しました。中京大(東海リーグ優勝校)は関学と対戦しましたが、関学の最初の2回の攻撃権を3&Outで抑え、オフェンスはファーストダウンをつないで先制点を奪いました。第2Qの中盤まで、両校は14-14の同点でした。最終的には関学63-21中京と大差がつきましたが、関学が一瞬、肝を冷やしたと思います。中京大が関東TOP8の下位校と試合をしたら、面白い接戦になるのではないかと思いました。中京大は本気で打倒関西・関東を狙っていると感じます。こういうチームの存在は、日本全体のフットボールの底上げをするだろうと考えています。
頑張れ、中京大学!!

2025年甲子園ボウルのフィールドの取り方。レフト側観客席(立命側)からフィールドまでの距離が非常に遠い

今季、甲子園ボウルではホームベースからセンター方向に向けて(ややライト側に傾いている)、フットボールのフィールドを作っていました。(かつては外野のレフトからライト方向にフィールドを設置して、観客の多くは外野席にて観戦しました)いずれにせよ、円形に近い野球場でフットボール試合をおこなうのは、どうしても無理があります。立命側のサイドラインから観客席までがすごく遠くて気の毒でした。
本場米国でフットボールをご覧になった方はご理解いただけると思いますが、フットボール専用スタジアムで観戦すると、その迫力と面白さは倍増します。お叱りを受けることを覚悟で言えば、私は大学日本一を決める試合は、野球場ではなく、サッカーJリーグの吹田スタジアムや、ヨドコウ桜スタジアム等の球技専用スタジアムで開催するべきと考えています。下記コラムをご参照ください。

【清水利彦コラム】1800号記念「清水のスタジアム論」 2021.12.23 | アメリカンフットボール三田会

3. 関西大学の女性応援団長

野球場にて野球部への応援をリードする関大応援団長

関西学生リーグ戦を観戦していて、びっくりしたことがありました。関西大学(関大)の応援団長が女性なのです。茶色の羽織袴姿で、冬の寒い日も裸足で応援のリードをしています。ただ「女性だから」という事ではなく、その動きが本当に素晴らしく見惚れてしまいました。良く通る大きな声・機敏でメリハリのあるリードと、申し分のない団長ぶりです。

私は知らなかったのですが、この女性団長は松山小夏さん(4回生)。関西学生スポーツ界では有名な存在のようで、「関大 女性応援団長」と検索すると彼女に関する記事がたくさん出てきます。関大応援団は、リーダー部、チア部、吹奏楽部の三部門があり、総勢170名の大集団です。コロナ災禍の時、一時期部員が減り、リーダー部の4年生が一人も居なくなったため、3年までチア部であった松山さんがリーダーに転向し、団長に選ばれたそうです。副団長2名も女性が務めています。

関西大学は団長、副団長3人全員が女子!〝花の〟応援団に チア→羽織袴「スタバ、サーティーワンでバイト」万博での演舞も決定 | ブームスポーツ編集局

松山団長はチアをしていたため身体は鍛え上げられており、腕は筋肉ムキムキ。相当なアスリートであると思われます。羽織袴が良く似合っていますが、冬の裸足はさぞかし冷たいだろうと思います。足袋を履くことは考えないのでしょうか。
応援のリードをする姿は「必死、真剣そのもの」。感動しました。彼女を見ていると心から関大を応援したくなります。

アスリート感満載の関大応援団長・松山小夏さん(4年)足元はハダシです。撮影・清水

応援のリードをしている姿のYou Tube動画がありましたので紹介します。この画像は一般イベントでの演技ですので立ち止まったままのリードですが、フットボールの試合では、サイドラインや観客席を右へ左へと機敏に動き回る団長の姿があります。

【淡路島イベント】2025.関西大学の応援が熱すぎた! (団長編)

アミノバイタルフィールドで、ユニコーンズの試合を見ていると、「慶應ファンの人たちは、応援指導部のリードに対して、ちょっと冷淡だな」と感じる時があります。すぐ横で応援指導部が一生懸命リードをしてくれていても、「自分は関係ない」というようにスルーしてしまう人が多いと思うのです。
逆に、応援指導部に向かって「もっと応援してくれ!俺たちも後に続くぞ!」という姿勢を見せれば、彼らは意気上がり、更にスタンドは盛り上がってゆくと思います。
私はスタジアムに到着し、応援指導部の姿を見かけると、「応援指導部!!頑張ってくれ!頼むぞ!」と声をかけるようにしています。「応援指導部を応援する」のです。


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