アメリカンフットボール三田会
会員親睦部会 情報発信担当
高木 慶太(H7年卒)
2021シーズンのXリーグはさながらUNICORNSイヤー。李卓さんのNFL本格挑戦のちCFL入りがオフシーズンの話題を独占し、高木翼さんのライスボウル制覇が日本人司令塔の新時代到来を予感させた。
高木翼MVP級の活躍で新ライスボウル制覇
今年より社会人同士の選手権試合へと様変わりした第75回ライスボウルは、レギュラーシーズン上位2チーム同士の頂上対決にふさわしい見応えのある攻防が最後の最後まで繰り広げられた。勝負の行方が分からない激戦の末、富士通フロンティアーズがパナソニックインパルスを下して2年ぶり6度目の優勝を果たした。
MVPこそ他の選手に譲ったが、大会史上に残る名勝負の中心にいたのは間違いなくQB#18 髙木翼さん(H27年卒)だ。自らの足とパスで3TDを挙げるMVP級の大活躍で、プレッシャーのかかるスターター1年目を見事に締めくくるだけでなく、オールXにも選ばれた対戦相手のパナソニックQBロウレンスとの一騎打ちにも勝利。長らくXリーグを席巻してきたアメリカ人QB至上主義に日本人エースが大きな風穴を開けてみせた。
柴田、井本も大きな存在感
慶應OBではWR#83 柴田源太さん(H30年卒)とDB#43 井本健一郎さん(H30年卒)も揃って出場した。高木同様、両選手とも富士通加入後に日本一厚い選手層に揉まれながら不断の努力を続け、今や攻守のキープレーヤーとなっている。井本は後半からの出場ながらチームで2番目に多いタックル数4(トップは6)を記録した。
OBの活躍が光った2021シーズン
日本人初のCFL選手となった李卓さん(H29年卒)を皮切りにOBがかつてなく活躍した印象の2021シーズン。
X1 Super(関東学生のTop8に相当)では前述の富士通トリオに続きノジマ相模原ライズの不動のエースWR#85 八木雄平さん(H28年卒)、前王者オービックでルーキーながら開幕スタメンを勝ち取ったDL#99 小山健太さん(R3年卒)、スターターの一角を担ったDB#8 東方嘉永さん(R2年卒)が三傑。
次点はリーグの台風の目として注目を集めた東京ガスクリエイターズの屋台骨を支えたOL#56 菊地隆太さん(H25年卒)か。2年ぶりのリーグ戦復帰となったオール三菱ライオンズの新司令塔QB#4 江守優さん(H28年卒)の小気味良いクオーターバッキングも忘れがたい。
X1 Area(同Big8に相当)に目を移すと、全勝でX1 Superへ返り咲いたアサヒビールシルバースターには若手OBがずらり。DL#90 並木琢朗さん(R2年卒)、LB#13 平岡峻さん(R2年卒)、LB#15 久保田能成さん(R3年卒)、TE#88 鈴木雷蔵さん(R3年卒)らの活躍があってこその古豪復活と言えるだろう。
一時は昇格レースで遅れを取りながらも最後の最後で滑り込んだディアーズフットボールクラブは、QB#12 大和田昌太郎さん(H26年卒)が全試合に先発。大型パサーとしての実力を遺憾なく発揮した。一方、守備ではDL#98 有藤直哉さん(H30年卒)、LB#10 安藤彬さん(H26年卒)、LB#52 染矢優生(H30年卒)、LB#24 中野航平さん(H31年卒)が機動力を生かして中核を担った。
惜しくもX1 Super昇格を逃した電通キャタピラーズにもDL#90 金子陽亮さん(H28年卒)、DB#25 杉山慶さん(H29年卒)、K/P#6 廣田祐さん(H31年卒)らOBが多数所属するが、中でもWR#82 佐藤凱輝さん(R2年卒)は電通の攻撃力を左右する存在としてエース格の働きを見せた。リターナーとしても秀逸。
Xリーグは来季からX1 Superが12チーム、X1 Areaが8チームへと編成が変わる。より拮抗した試合を増やすことが狙いだ。
新たな勢力図が描かれ、これまで以上に熱いドラマが生まれることだろう。
OB同士が敵味方に分かれて凌ぎを削り合う場面がますます増えるはずだ。新卒メンバーを加えた新旧OBの活躍に今から期待が膨らむ。